FC2ブログ

想う生き物

様々なものを「想う」毎日を「明るく・楽しく・いやらしく」ワキャキャと書いていきたいです。

2013-03

闇の話 「どうでもいいこと」

どうでもいいこと?

ちいせぇやつ?


クーの言葉に華のハラワタは煮えくりかえりそうになった。

クーの言う、どうでもいいことでどれだけの人間が不幸になった事か
どれだけ長い時間を狂わされた事か

自分の責任の部分を差し引いても十分過ぎる「どうでもよくないこと」だ


だけど、ここにいる人達には全く関係ない事で、幸せの絶頂に居る新郎新婦には迷惑な怒りが華の身体を占領しようとしている


「ごめん、ちょっと」

やっとそう言ってお手洗いへ逃げる


悔しい

情けない

つらい

あの場で取り乱す事を必死に抑えた自分を褒めてやりたい。

だけど笑ってかわせなくてお手洗いに逃げ込んだ自分が情けない

どうしてこんな思いをしないといけないんだろう

どうしてクーに怯えながら逃げ回らないといけないんだろう

完全とは言わないけれど華は被害者だ

それなのに

いつまでもクーの影に怯えていないといけないなんて理不尽じゃないか

色んな事を考えても個室を出て皆の輪に戻る気持になれない


たくさんの人を騙して、自分の母親を失って、子供まで手放したクー
少なからず何らかの罪悪感を持って、何かに怯えて逃げ回って生きているものだとばかり思っていたのに

あんな風に何事もなかったように
ほんの少しも悪びれず、自分は悪くないと言わんばかりに友達の前に姿を現していることが信じられない

怒りと同時に芽生えた「敗北感」に似た気持ちにゾッとする



「お前は偉かったよ、よく取り乱さずその場をおさめたよ」
店長はそう言って華の髪を撫でた

「傷を与えられた方ってのは、いつまでたってもそれを忘れられないけどな
与えた側ってのはすぐ忘れちまうんだ
で、そんなやつに限って、自分の傷については大騒ぎして痛い痛いって言うんだよ

あのな、華
お前がそこでクーに殴りかからなくても、必ずクーは痛い目にあうよ
それがどんな形か、いつかは分からないけどな
お前がその手を汚す必要はない」

「うん、そうだね」


怒りをなだめるには時間がかかったけれど、華はそのいつかを待つ事にした


そしてそれは訪れた

その時、華は自分の手を汚してしまうんだ

闇の話 「ちいせぇヤツ」

店長との今を前に書いてしまっているのでお分かりだと思いますが、店長の手術は成功しそれからは少しづつ回復して現在は普通の生活が出来ています。

それからの華は店長にベッタリで、店長もそれを止めさせようとはしなくて誰が見ても元のアマアマな関係に戻ったけれどセックスはほとんどありませんでした。


話は変わって、華は高校時代の友人の結婚式に呼ばれた。
変わり果てた姿を見せるのも、高校時代というのも嫌だったけれど、新郎新婦ともに知り合いだった事もあり断るわけにいかず出席した。

クーの事で全て嫌な思い出と思ってしまっていたけれど、懐かしい友人と会うのは楽しかったし、豪華ではなかったけれど温かくて優しい感じの素敵な結婚式は華の心をウキウキとさせた。

2人の歴史を辿るスライドショーで写り込んで笑う17歳の自分は、その先の人生に暗く惨めな出来事が待ってるなんて予想すらしていない無邪気な華

「ほんと、あの頃って何が楽しくてあんなに笑ってたのかな?」隣の友人の言葉に「そうだね」と返しながらボンヤリ振り返る。

一丁前に大人びた事を言っているけど、実際はまだまだ子供に毛が生えた位しか社会を知らない。
そんな自分から見て、どれもこれも、誰もかれも眩しいほど笑顔で若さを感じるスライドの向こうの世界

何を間違ってしまったんだろう?
どこからやり直せば普通の生活を出来たんだろう?

そんな事ばかり考えながら生活をしてきたけれど、それがあったからこそ出会えた人や感じた優しさがある

そんな風に自分の招いた不幸に折り合いをつけなければいけないのかな?なんて思ったのはきっと結婚式という幸せだけが花開いている場所だから

式が終わり、中庭で小さなパーティーが始まる

そこへは式に出ていなかった友人もたくさんやってきて一層盛り上がる

「連絡を取り合ってまた会おうよ」
「ねぇ、あの人カッコ良くない?」

そんな会話が飛び交う中、油断していた華にあの声が聞こえる

「華♪」

振り返ると「久しぶり♪」と胸の前で小さく手を振るクーの姿があった


人の事は言えないけれど、クーは最後に会った時より随分と太っていて、学生時代の「がっちり」した感じより「ブックリ」という言葉が合うような姿だったから2人並ぶと鏡みたいだ

そしてあまりにも「普通過ぎる」クーの態度は拍子抜けして、笑顔で「クー♪」と返してしまってもおかしくないほど何も悪びれていなかった。

「元気してた?」

どう答えていいか、どう接して良いか分からずいる華を置き去りにしてクーはペラペラと自分の今を語り始める

「今はトラックの運転手をしててね、ほら、私、車の運転好きだったでしょ?」
「付き合ってた人が居るんだけど、貧乏過ぎて別れちゃった!あ~、どっかに良い男いないかなぁ」
「ねぇねぇ、あの子、学生の時より随分老けたよねー」

目の前の景色がさっきのスライドショーの続きみたいに現実味を感じないまま過ぎていく

あれだけの人を苦しめて、自分の母親を自殺に追いやって、自分の子供を捨てたクーが目の前で何事もなかったようにペラペラと話してゲラゲラと笑っている

そしてそれを目の前で見ている華は怒りも、懐かしさも、当然嬉しさも何もこみ上げてこないままポカンとそれを見ている

「あ、あっちにみんないる!華、行こう行こう!」

クーが華の手を掴んだ時、ゾクリとするような嫌な感じがして無意識に振り払う
そして持っていたグラスを落とした音で皆がこっちに視線を向ける

「どうしたの?大丈夫?」

クーに掴まれた部分がヌルリとしてそのまま腐り落ちるんじゃないかって思うほど嫌な感じがしてからは、さっきまでのポカンとした心の反動みたいに叫び出したい衝動にかられる

クーを罵倒して、言いたい事をすべてぶちまけてしまいそうな気持ちを必死に飲み込ませたのは純白のドレス姿で心配そうにこっちを見ている新婦の顔

今日はあの2人にとって人生最良の日でなければいけない

あの2人に全く関係ない事でそれをぶちこわすなんて絶対にしてはいけない。

その気持ちだけで「ごめんごめん、飲み過ぎたかも^^;」と場を和ませ、友人の輪の中へ身を隠すように時間をやり過ごす

パーティーの大きな一つの輪が段々といくつもの小さな輪になっていく頃には、ノロケ話も思い出話もお腹いっぱいで少々生々しい話題が欲しくなってくる

その場にいない友人の近況や、誰かと誰かが付き合ったけど別れたとか、新郎と新婦も実は結構ドロドロしてた何て下世話な話題に花が咲く。

「あー、私も良い恋したいなぁ」
別に誰も聞いていないし、数名の小さな輪には大きめの声でクーが言う
唇でストローを引き寄せるようにしながら会場の男性を見渡すその仕草は絶品の気持ち悪さだったから誰もが苦笑いでそれをやり過ごす
「でもそれより先に仕事探さなくちゃ、どっかに良い会社ないかな~」
会話の中心にいないと気が済まないのは相変わらずみたいで、誰も聞いていないのに条件を話し出す

「完全週休二日制で~、残業なくて~、ノルマなくて~、汚れる仕事じゃなくて~、手取りで30万位欲しいなぁ~」

そんな所あったら、とっくに転職してる!と言いたげな周りの空気も一切読まないもんだから会話も進展しない

「ほんと、キレイだよね~」ともう何十回目かの「花嫁を褒める言葉」を誰かが言った時、面白くなげなクーが突然こっちを向いて

「そうだ!華の会社に紹介してよ!」と話を無理矢理元に戻した

「いや、無理。っていうかその条件に1個も合ってないから」
ほぼ即答する華にクーが本当に呆れたような顔をして

「ねーねー、聞いた?普通の友達ならともかく親友が困ってるっていうのに、そんな言い方ないよね?」

クーの言葉に全身を虫が這い回るようなゾワゾワとした不快感を覚える

「いや、でもクーちゃんの条件に合う所なんて・・・・・ないよ」
「それに今日はあの2人の幸せをお祝いする日だし・・・・・・ねぇ・・・・・」

明らかに不愉快というクーの言い方に周りが個々に精一杯のフォローをする

「あのさ!華はさ!昔の事を未だに根に持ってるんだよね!だからさっきから私に対して
ずーーーーーーーーーっと嫌な態度を取ってるんだよ」

「クー、飲み過ぎたんじゃない?」
そう言いながら何かを吐き出してしまいそうなのを必死にこらえているのは華の方

「どうでもいいような昔の事をいつまでも根に持ってネチネチネチネチしてさ!親友が困ってるのに手も差し伸べないなんて

華って本当に ちいせぇヤツだよ!」

闇の話 「どこにもいかないで」

それから何回か色々な「クー一派」が会いたいと連絡してきたけれど、華は会う事をしなかった。

会った所で不愉快な気持になるだけだし、何より仕事が本当に忙しかった。

そんな中、店長が入院したと元奥さんに聞いた。

「おう、どうした?」
何事もないみたいに電話に出て入院しているそぶりも見せない店長に話を聞いた事を告げると「おしゃべりだな、アイツは」と電話の向こうで苦笑いしている

会いに来いとも、会いに行きたいともお互いに言わなかったけど、それから毎日電話やメールをした。
店長が電話をくれる時は決まって屋上の喫煙所で「タバコ吸ってるでしょ!」と華が怒るのがお決まり。

「華の夢を見た」
「え?どんな?」
「言わせるなよー、照れるじゃねぇか」

そんなメールのやり取りばかりでどんな様子なのかも、どんな病気なのかも聞かないし言わない。そんな毎日。


そのうち店長が屋上から電話をくれる事が減って、メールばかりになって、メールの返事も毎日届かなくなる
「ちゃんと返事ちょうだいよ、心配するじゃん」
「ごめんごめん、可愛いナースがいてそっちに夢中なんだ」
「ひどーい」
そんなやりとりを最後にメールが途切れ途切れになった頃、また元奥さんから連絡をもらう

「近いうちに手術をするって、華ちゃん、会っておいた方がいいかもよ」
「え?それってどういう意味ですか?」
「自分の目で確かめな、もう私はアンタ達の「言わないで」に付き合ってられない」

その日の夜、華は大きな病院へ車を走らせた

「長く面会は出来ませんからね」
そう念押しされて重いドアを開けて言葉を失う。


大柄で体格が良くて日に焼けていた店長は、骨格にそのまま茶色い皮を貼り付けたみたいになっていて
そこから身体を這うように伸びているいくつもの管が痩せた木に絡まるツタみたいに見えた

「おう、華」

それでもやっぱり何事もなかったようにニヤリと笑って、ゆっくり上げようとする腕を迎えに行くように身体を入れ込む

「どうして言ってくれなかったんですか」
「お前、心配するだろ?」
当たり前みたいな返事

「するに決まってる!」
「まあ、そう怒るな 会えたんだから笑ってろよ」

華は物凄く後悔していた
自分の体形が変わったから、店長が自分に嘘をついているから、そんな理由で会わずにいた事を
もっとシンプルな理由に従って、ただ会いたい気持ちだけで会っていればよかった
元奥さんが教えてくれている店長の事だけで会ったような、知っているような気持ちになっていた自分にどうしようもない後悔を抱いていた

「ごめんなさい、店長、わたし・・・・」
「分かってる、俺もお前に嘘をついたからオアイコだろ?もう何も言わないでいい」
「でも・・・・・」
「お前は自分の体形が変わったから会いたくないって言ったけど、俺にとってはそんな姿になっても華は華だ
お前にとってもこんな姿になっても俺は俺だろ?」
「そうだけど・・・・」

店長は屋上に行かなくなった訳でも可愛いナースに夢中になった訳でもなかった

動く事が普通に出来なくなって、メールを打つ体力もなくなっていただけだった

一目見ればそれが分かるのに、そこまで遠く離れてもいないのに華は会いに来なかった


「あのな、華」
「はい?」
「あと何日かしたら、ちょっと大きな手術をする。
その手術が成功しても植物状態みたいになる可能性があるみたいなんだよな
俺はそんなになるならいっそ、殺してくれって医者に言ったんだけど どうやらそうもいかないみたいだ」
「そんな・・・・・」
「あくまで最悪の場合な」
「だけど・・・・・・」
「いいか?良く聞けよ
結果は必ず知らせる様に言っておく。
だから、もし、俺がそうなった場合、もう二度と俺に会いに来るな。分かったな?」
「え?」
「分かったな?」
「そんなのイヤだよ!」
「ダメだ」
「どうして」
「お前にそんな姿は見せたくないし、お前の重荷になりたくない。」


まだ屋上で電話をしていた頃、よく言ってた言葉

「お前はよく働くなー、そんなに溜め込んでどうするんだよ」
「どうしようかなー」
「ま、お前がそれだけ溜めてれば俺は安心してお前に介護を任せられるな」
「任せて!店長のオムツ交換は誰にもさせないよ^^」
「ばーか、冗談だ」

自分の体調が悪化するにつれて店長はどんな気持ちでそれを言って、聞いていたのか


「だからその時は、な?もう会いに来ないでくれ 俺の気持ちもわかってくれよ」
「・・・・・・」
「あくまで最悪の話だから」
「もしそうなったら、店長をぶん殴って起こしに来る『いつまで寝てんだ!さっさと起きろ!』って」
「あははは」
「店長、どこにもいかないで」
「そのつもりだ」
「元気になったら、もう離れないで」
「そうだな、もう意地の張り合いはお終いにしような」
「うん」

何度も咳払いをされているのを無視してしまって「あの、もうそろそろ」と痺れを切らした看護師さんに2人で苦笑いして、こっそりキスをして笑い合う

「やっぱり華は笑ってるのが一番いい」
「店長もね」

繋いだ手を名残惜しく離して、重いドアの外に出た

面会時間はまだ全然終わっていない。
超過していたのは面会時間ではなく店長の体力的な制限時間。
賑やかな廊下を出口に向かいながら、とても寂しい気持ちになった。

闇の話 「真意」

闇の話ですが、今現在のリアルタイムの話題。


先日のなりすましさんはおそらく関係ないだろうけれど、とっても嫌な予感がする出来事がありました。

おそらく気のせいだろうと思うし、そうであってほしいけれど

ちょっとその真意がはっきりするまで闇の話を書く気持ちになれずにいます


また気持ちが落ち着いたら書き始めますが、少しの間「闇の話」はお休みするかも知れません。

帰っておいで

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

闇の話 「お節介」

イトウくんの悩みや決断に費やした時間は結構なものだったと想像するけれど、残念ながら華の中では「クー」という一言で別れの悲しみは闇への不安に上書きされてしまった。

クーが近くに居る。

それだけで華の気持ちは不安定になり見えない闇の存在に怯える


そしてクーにそういう情報が入っているという事は、華の闇金生活を知ってる誰かが繋がってる事になる。


「えええ、本当に華なの?」
申し訳ないが真っ先にそれを疑い訪ねたポコちゃんは目を丸くして華を迎え入れた。

「で、どうしてるの?今」
笑顔でお菓子をすすめるポコちゃんはその前に真顔で
「あの頃の事は思い出したくないし、消したい。今は幸せに生活してるし、旦那には一切話してない。もし、クーの事でって言うなら、話す事は何もないよ」と言ったから繋がってるのはポコちゃんじゃない。

少し年上の人と結婚して、キレイなお家を毎日キレイにしながら幸せに生活してるポコちゃんを道連れにする訳にはいかない。

内通者がポコちゃんじゃないと分かっただけで充分だと思ったから、その後はノロケを聞くだけ聞いて笑顔で別れた。

「ごめんね、華 あの時は本当にごめん。」

別れ際、言いにくそうにポコちゃんがそう言ったから「何だっけ?もう忘れちゃったよ」と返す

それからポコちゃんには会っていない。


それからしばらくして、高校時代からお節介だった友人から連絡が来て会う事になった。


「今ね、クーちゃん色々大変みたい」
他愛のない話から「これが本題です」と言わんばかりに口調を変えた切り出しに興味なげに「ふーん」と返す

この友人はクーと中学からの付き合いで当時から子分みたいな扱いをされてたのを知ってたから、呼び出されたのも多分そういう話だろうと分かってた。

見えない闇に怯えて逃げ回るより、ある程度状況を知っておいて対策をとれないものかと思っていた

「何が大変なの?とか聞かないの?」
「うん、別に興味ないしね」

聞かなくても話し出すのも分かってたし、案の定、聞いてもいないのにペラペラとクーの「大変」を話し出す

大した大変でもないし、家に帰れないのは自業自得。

なんだ、その程度か と微笑みたくなるような大変を話し終えた友人は心底ガッカリしたような顔をして「華ちゃん冷たいね」と吐き捨てた

友人は少なからずクーが華をどんな風に傷付けたか知ってるはずだし、いくつかは加担してるはず
そんな人に「冷たい」と言われるのはどうだって良かったけど、ちょっとイラっとした。

「じゃ、あなたは何をしてあげたの?」
「え?」
「私を冷たいって言う位だもん、私よりもっと付き合いの深いあなたはクーに何をしてあげたのか聞きたいな」
「・・・・・・だから、こうやって華ちゃんに会って話をしたりさ」
「は?それだけ?」
「・・・・・・・・」
「当然、生活の援助とかしてあげてるんだよね?」
「・・・・・・・そんなにお金ないもん」
「本当に助けてあげたいなら借金でも何でもして助けてあげなよ~!あ、私、良い所知ってるよ!すぐお金貸してくれるよ!行こう!」
嬉々として立ち上がり友人の腕を掴もうとすると、ファミレスの中だって事も忘れたみたいな大声で「いや!」と身を縮める

「あのさ、クーに言われてきたんでしょ?
可哀想なんです助けてあげて下さいって言えばバカな華はノコノコついてくるって、そう言われたんでしょ?
もう、そういうのいいからさ
済んだ事をとやかく言うつもりも、見つけ出してボコボコにする気もないからさ
その代わり、もう二度と私に関わらないでって伝えてくれる?」

「・・・・・・そんなこと言えないよ」

「ふーん、なら、こう伝えてよ てかあなたにも同じ事を言うよ」
「な、なに?」
「今度、私に関わってきたら生きてる事を後悔させてやるから覚悟して関わってこい」

青ざめた顔で逃げるようにファミレスを出ていく友人の後姿を見送って、ふーと大きく息をつく
店長の真似をして一世一代のハッタリをかましてやったけど、テーブルの下で握り締めてた手は汗をかいてブルブルと震えていた




店長に会いたい。

弱虫だけど店長の真似してガッツリ言ってやったんだよ!って言ったら抱き寄せて頭を撫でてくれるかな

「よーし!よくやった!偉かったぞ!」っていつもみたいに笑うかな


そんな事を考えながら震えの止まらない手を抱かかえる様にして小さく笑った。

コンプレックス

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

闇の話 「モノズキ」

「もう店長には会えないの、彼氏が出来たから」

華のその言葉に店長はワンクッション置いてから「そ、そうか!良かったな!」と喜んでくれた

そしてゴニョゴニョと少し話して電話は終わり、それから店長とは疎遠になる。


本当は店長の所へ飛んで行きたかった。
「無理をしているんじゃないの?お酒を飲み過ぎている?タバコやめなくちゃ!」とうるさがられるくらいヤイヤイ言いたかった。

だけど、それは出来なかった。

アイツの言葉を忘れる為に引き換えにしたものは大きかった。


不思議なもので、その言葉はあながちウソではなくなったのはその少し後
高校の時の同級生で一緒に生徒会もやっていたイトウ君とバッタリ会い、それからイトウ君の猛アタックが始まった。

高校の時の・・・・という繋がりを毛嫌いしていたこともあるし、何より倍に膨らんだ華をどうして好きだと言うのかが華には理解出来ず
もしかしたら何かの罰ゲーム的なものなのではないか?と疑ったりもして、イトウ君の事をノラリクラリとかわしていたのだけど
確かクリスマスの日に大真面目な顔して告白してきたイトウ君に華はうっかりOKをしてしまった

華のうっかり心に反してイトウ君は華をとても大事にしてくれた。
「どうしてこんなデブがいいの?」と聞く華に「健康に支障が出るような事もあるから少しは痩せた方が良いかも知れないなと思うけど、そのままの華も俺は好きだよ」とニッコリと笑う。

当時既に100キロを超えていた華にイトウ君の笑顔は「う~ん」とにわかに信じられないものだったけれど、イトウ君はそんな事はお構いなしに華をお姫様みたいに扱った。

華があまりしたがらない高校時代の話の中でイトウ君はこんな事を言った。

「華は覚えてないかもしれないけど、俺が昔、イジラれキャラっていうか イジメに近い事されててさ
華はそれにいつも「卑怯者のすることだ!」って怒ってくれてたけど、俺は「別にいいんだ」って言ったら
そしたら華が「イトウがイトウ自身を守ろうとしないなら、誰もイトウを助けられない」ってメチャメチャ怒ってさ
俺は被害者なのになんで華に怒られてんだ?ってその時は思ったけど、後になって華が何を言いたかったか分かってさ
お礼も言えないまま卒業しちゃったなぁってずっと気になってたんだよね」

「覚えてないや^^;」

「そっか^^ でも、今の俺が自分を好きになって大切に思えてるのは華のおかげなんだ^^」


イトウ君と色々な事を話し、月日を重ねていくたびに徐々に華はイトウ君を信頼していった。


イトウ君は仕事をしながら司法試験の勉強をしていて、華と付き合いだした年に見事合格をし夢に向かって大きな一歩を踏み出した。

そして住み慣れた街を離れるタイミングで華と結婚したいと言った。

あまりにも突飛なその言葉に戸惑ったし、自分もまだまだ当時の会社で仕事がしたいとも思っていたけど
心のどこかではOKすることを決めていたような気がする。


ソワソワと浮足立つ気持ちの中、ちょっとした繁忙期に入り会えなくなって久しぶりに会った時、イトウ君はひどく申し訳なさそうに華に別れを切り出してきた

「どうして?」
突然過ぎてまだ悲しみすら感じられずにいる華にイトウ君は「ごめん」と繰り返す

「ごめんじゃ分からないよ、理由を教えて」

何度謝っても引かない華にイトウ君は苛立ったように言い放った

「華ってヤクザの愛人だったんだってね」

「え?」

「俺、華の事好きだけど、その過去はこれからの俺に汚点にしかならないんだよ」


申し訳ないけれど、この時点で華はイトウ君との別れの悲しみはしぼんでいた
その代わり物凄い勢いで嫌な予感がムクムクムクムクと心の中で膨らんでいく

「だ・・・・だれにその事を聞いたの?」

大きな闇がイトウ君を飲み込むその前に投げかけた言葉に、イトウ君がちっとも苦しくなさげに答える

「クーだよ。この前、生徒会の同窓会って言われて集まった 知らなかった?」


イトウ君の言葉に華は気が付いた

ああ、闇に飲み込まれているのは華の方だ って。

闇の話 「醜体」

なりたくてなった、身体。

とか何とか言っても結局は怠慢が過ぎて出来上がった醜い身体。

華はそれを恥じるでもなく開き直って毎日を過ごしていた。


「えー!どうしちゃったの!」
半ば強引に飲みに誘われ出て行った先で本気で驚いたのは店長の元奥さん。
「えへへ だらけまくりです^^;」
とノラリクラリかわしていたけれど、結局はかなわずきっかけの理由を話す。
「店長には言わないでくださいね、理由も今の私の姿も。」
そんな華の言葉に苦虫を噛み潰したような顔をして
「私、そんなにいっぱい黙ってられないよ」とナイショを1つ吐き出した。

店長が結婚した相手は行きつけの飲み屋さんの外国人女性で、籍は入れたけれど一緒に生活してないどころかほとんど会ってもいない。

そして今、店長は体調が悪く通院を続けている。

「結婚の事も、病気の事も華には絶対言うなって言われてる。」

「そうですか・・・・・」

「アイツは華ちゃんが会えないって逃げ回った理由を過去から逃げたいからだと思ってるよ?」

「過去?」

(※ここで書く「アイツ」は店長の元奥さんが「店長」を指して言っています。
華が指す「アイツ(レイプ未遂の)」の事ではありません。

分かると思いましたけど^^;書いてる本人がちょっと混乱^^;おバカさんでごわす)


「借金の事も、レイプの事もアイツは知ってるでしょ?
華ちゃんが元の生活に戻って楽しく過ごしてて、もしかしたら恋をしてるかも知れないし彼氏が出来たかも知れない。
アイツがいつまでも華ちゃんを心配したり会いたがったりすることは華ちゃんにとって迷惑だし、アイツが連絡する事で華ちゃんが嫌な事を思い出してしまうかも知れない。
だから結婚したよって言う事で、華ちゃんはもうアイツに追い回される事もないって安心して新しい生活や恋が出来る。
だから本当の事は絶対に華ちゃんに言うなって言われてる。

今日は今日で華ちゃんにアイツに会わない理由と、レイプ魔にとりつかれて自分を変えてしまった事を聞いた。

本当はアイツも華ちゃんもお互いを必要としてるのに

アイツは華ちゃんと自分が釣り合ってないって言ってるし、華ちゃんはアイツに思われる資格がないって言ってる
2人が一緒に笑ってた時は本当に幸せそうだったのに・・・・華ちゃん、あの笑顔は嘘だったの?違うよね?
どっちも知ってて言わないなんて私には辛過ぎるよ。」

「ごめんなさい・・・・・」

「私は許せないよ、華ちゃんの幸せを奪っただけじゃなくて、あんなに幸せそうだった2人の未来を奪ったことも
その男をぶん殴ってやりたいよ」


酔った元奥さんがオイオイ泣いた。


それでも華は店長のために何か出来るような女じゃないと、何もせずに居た。



華が店長に連絡をしたのはそれから1ヶ月以上過ぎてからだった


「おう、どうした?」
いつものように振舞ってるけど気のせいか声に少し元気がない。

「あのね、店長」
そう切り出して華は店長を避けた理由と自分の今の姿を淡々と話した。

話しながら華は、アイツに汚されたあの日の事を思い出した
あの日も淡々とまるで他人事みたいに話した

素直になることに感情を込める事が苦手なんだと自分を知りながら


「店長の事が好きだから醜い姿で会えなかった」
そう言い終えたら店長はいつものように豪快に笑った。
「俺はお前の外見を好きだと言った訳じゃない、どんな姿になろうと俺にとって華は可愛い華だ。」

「あのな、俺も言ってないことがある

店長の言葉をさえぎって華は明るく切り出した

「でもね、もうこれからは会えないの。彼氏が出来たから」

ほらね、華は嘘を言うときほど感情を込める事が出来る。

祝5000

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

闇の話 「安堵」

女として見られる事を捨てる

そこにまず見た目から入った華だけど、それだけではまだ「追い抜かして出世した男にレイプされた女」という目は消えなかった。

元々化粧をしていなかったから、それ以上見た目でそれをアピールできなかったというのもあるのだけど、仕事に集中していない時間は頑張ってガサツに過ごした。

言っても、華は昔から「気にしい」だから、例えば「オメー、ふざけんなよー」と汚い言葉を意図的に使っては、その言葉に自分で落ち込む
誰かが「お腹が痛い」と言えば、うっかり「大丈夫ですか?薬飲みます?」と言っちゃってからハッとして「ウ!ウンコしてくりゃ治るよ!」なんて言い直して、またその言葉に落ち込む

ガサツでいる事がものすごくストレスになって、1日が終わるとドッと疲れてしまうのだ。


「おい、連絡ないけど大丈夫なのか?」そんな店長の電話に「大丈夫です^^元気ですよ」なんて返事しながら、店長が褒めてくれたクルンクルンの長い髪がもうない事を伝えられず落ち込む

食欲も落ちるし夜も眠れない。
傍から見て滑稽な自分の決意に首を絞められ続ける毎日。


そんな華を救ったのはお酒だった。

元々飲むのは好きだけど量は飲めなかった華は、その頃毎晩ワインのフルボトルを2本~3本飲んでいた。
(汚い話で申し訳ないけれど、飲んで、吐いて、また飲んで、なんてのも平気でやってた。)

それでよく仕事してたなと思うけど、当時は普通に仕事もしてた。

そのうち華は長い長い晩酌をしながら食べる事も始める

酔ってくるともう惰性でいくらでも食べる事が出来た。

そうすることで日中の落ち込みを軽減出来てる気がしてたし、嫌な事を考えずに済んだ


当然と言えば当然、華はみるみる太っていった。
普通にしていても二重アゴになって頬肉に鼻が埋まり、吹き出物だらけの顔
すね毛ボーボーの足からは足首が消えて、胸のせいで見えなかった自分のアソコは更に腹肉の鉄壁でガードされる。

ダボダボだった制服がピッタリになり、キツキツになるのに長い時間はかからなかった。

その頃にはあえてガサツを意識しなくても「不摂生の固まり」として上手に立ち振る舞う事が出来た。


それでも心の何処かに「この姿では店長に会えない」と思う自分もいた。

おそらく自分の「一番可愛い姿」を知っている大切な人。
その人の前にこの姿で出ていく事だけは出来ない

だから店長が心配して会いに来ないように連絡はマメに返していたけど、会う約束だけは「仕事が忙しい」と逃げ回っていた。

最後の葛藤。

女であることを本当に捨てるの?

店長が「華、可愛い」という時のあの優しい表情まで捨ててしまうの?



そのタイミングで店長は2回目の結婚をした。

「俺の所に戻る気はないのか?」何度もそう聞かれて「戻らない」と答え続けた結果の事

「俺が結婚したからと言っても、何かあったらすぐ連絡しろよ」
そのメールを読み返し泣いている自分の姿は、店長が知ってる頃の倍近く太った醜い姿。



良いの?良くないの?そんな葛藤の中でも華の生活は変わらなかった。
いや、むしろ加速していった。
店長の言葉は嬉しかったし、その言葉に嘘はないだろうけれど、華は最後の支えを自分の手で握りつぶしてしまった。
その不安や淋しさ、同時に自分の身を守るため、安心するため 全てを満たし忘れさせるのは何かを食べている時しかなかった


ある週末、買って帰った分を飲み終えてしまった華は深夜にコンビニにお酒を買いに行った
どっさり買い込んだ帰り道、暗い夜道に急に男性の姿が見えた

「きゃっ」

何かされる!という事ではなくほとんど反射的に出した声に男性が吐き捨てるように言う


「どけ!デブ!」



華はその言葉に物凄く安堵した。

自分が異性にそういう対象でなくなったという事がこの上なく安心だった

自分の決意が間違ってなかった。
もうあんな理不尽な理由で傷付くことはないんだ。

その瞬間、やっとアイツの言葉に解放された気がした。

闇の話 「捨てる」

翌日、華は本当に久しぶりに会社へ行った。

風邪をひいて休んだあの日は、まさかこんなことが自分に起こるなんて思ってなかったななんて変にしみじみ思う。

事務所へ入ると皆がギョッとした顔をして華を見るけれど、それをまるきりスルーして華は社長室へ向かった。


「本当に悪かったね」

華の顔を見るなり深々と頭を下げた社長は聞いてもいない言い訳を話し始める。

社長とナナコさんは不倫関係(社長は既婚者、ナナコさんは独身)だったのだけどナナコさんが仕事にそれを持ちこむようになった為、関係を解消した。
納得いかないナナコさんは「次の愛人は華なんでしょ?」と何度も言っていたけど社長は話すのが面倒でそれをはっきり否定しなかった。

ナナコさんは華から聞いた「華の好きな人」を勝手に社長に当てはめ、華を逆恨みしているアイツに計画を持ちかけた。

そして結局、ナナコさんを解雇する事は出来なかった。


でも、華は別にそんなことはどうでも良かったし聞きたくもなかった。

自分の2つ目の決意の為には忙し過ぎる仕事が必要だったからナナコさんが居ようが居まいが会社には戻るつもりだった。

「社長、お願いがあります。」

華は生意気にも強気に復職の条件を提示し、「ああ、別にかまわないけど」という社長の了承のもと仕事へ復帰した。


着替えを済ませ、ロッカールームの鏡に映る自分


背中まであった髪をロクに見もせずザクザクと切った髪(長さだけで言えばベリーショートと坊主の中間くらい)、男性用のしかもサイズはダボダボの制服。


華の復職の条件は男性用の制服を着用する事と、今までの自分とは変わるという事。

客先に出る業種じゃなかったから、業務に支障はないけれど景色として良くはない状況になる事を最初に言っておきたかった。





中学生くらいからやたらと胸が大きくなってきて、服のサイズも胸に合わせると大きくなってしまうし、身体に合わせると胸の所がパツンパツンになるからブラウスなんかはハチ切れてしまって着れない。

異性だけでなく同性の目もそこばかり見られて、胸の話題ばかりで、大嫌いだった自分の胸。


返済に追われる生活が終わり、ナナコさんに誘われて服を買いに行くようになりオシャレが楽しいと思ったのはある

「隠そうとするから余計にボワっとして見えちゃうんだよ」と言われてなるほどなと思ったのもある


だけど断じて華はアイツを誘う様な格好をしたつもりはない。



「お前が誘う様な格好をしてるから悪いんだ」


アイツにされたことの記憶は薄れても、その言葉だけはどうしても消化出来ず身体の中でモヤモヤし続けていた。






「女に見られる事を捨てる」

それが華のした2つ目の決意だった。

闇の話 「2つ目の決意」

<あの日の事を思い出すと、苦笑いしてしまう。でも、本当に人生で経験した事のない痛みだったなぁ。
まさに「裂ける」感じの痛みの中で「マンガと違う!」と何度も思ったっけ(笑)
店長に「ガニマタガニマタ」言われたけど、数日は挿ってないのに「挿ってる感」があったなぁ。

あれから痛い思いってしてきてるけど、もう一回あの痛みを経験するとして、あれだけ大騒ぎする痛みなんだろうか?なんてちょっと思ってみたりして>



あの日から店長は華に対してものすごく執着するようになった。
人前で手を繋いだりするのも前は「オッサンがそんなこと出来るか!」と言ってたけど普通にするし、仲間の人が華の胸元を見たりする事も前は何も言わなかったけど「見るんじゃねぇ!」と言ったり

そして毎晩、いや、毎昼夜、華を求めた。

朝の仕事を終えた後、お昼を食べた後、夜、華を離そうとはしなかった。

「別に離れるからヤリまくっとこうって訳じゃないからな」
店長は求めるたびにそう言ったけど、華はそんな風に考えもしなかった
そんな風に思えないほど店長は丁寧に丁寧に華に触れたし、華も触れられたいと思っていたから

華は自分の身体の劇的な変化を感じていた

劇的と言っても外見的な事じゃないし、うまく言葉に出来ないんだけど自分が「女」になったのを感じていて
それが周りにもオーラみたいに見えてしまってるんじゃないかと恥ずかしくてたまらなかった

これ!ってのがないけど、例えば何気なく鏡を見たときなんかに自分の表情が「女」してる とか
シャワーを浴びた時に触れた自分の肌の感触が「女」してる とか

じゃ、女してるって何?と聞かれると「うーん」ってなるけど、そんな感じ


自宅で散々してるのに、店長は華をホテルに連れて行ったりもした。

声を我慢したり、人の気配を気にしてるのは嫌だろ?って


店長と華は一歩間違えたら少し解けて1つの塊になっちゃうんじゃないかってほど、いつもくっついてた。


「また会うよな?」
「なんでそんなこと聞くんですか?」
笑いながら答える華に店長は少し真顔でもう一度聞く
「次に会う時、触れられなくても良い。ただお前に会いたい。 会うよな?」
「会わないんですか?」
「お前の口から聞きたい、茶化さないでちゃんと言ってくれ 元の生活に戻っても会うって」
「会いますよ 店長の事大好きだもん」

そんなやりとりに店長はホッとしたような笑顔を見せ、華の胸はチクリと痛んだ


連休最終日、華はアパートへ戻った

「何かあったら必ず連絡しろよ」
「はい^^」
「何もなくても連絡しろよ」
「はいはい^^」
「俺もするから無視するなよ」
「当たり前じゃないですか^^」

アパートの前でなかなか車から降りられず、やっと別れる


久しぶりの我が家。(ちょいちょい様子は見に行ってましたけど)

久しぶりの1人きり。


でも、淋しいなんて言っていられない。


華は引き出しから大きなハサミを持って鏡の前に立った。

闇の話 「正真正銘」

「電気を消して下さい」

その言葉を最後に華はまともな言葉を発せなくなった

暗くなった部屋で店長はものすごい時間をかけて華の身体の隅々に舌を這わせ、失った水分を補うように何度も何度もキスをした

それこそ足の指からお尻の穴、髪まで

当然そんなことをされるのが初めてな華は恥ずかしくて恥ずかしくて、自分の口から出る「感じている声」はもっと恥ずかしくて身をよじるたびにそこに舌を這わされ、どうしたらいいか分からない状態だった。

「華、すごくかわいい」

だけど店長がそう華を褒めるたびに身体の奥のどこかがキュンと苦しくなって、身体がそれを喜んでいるのを感じた

「もう忘れろ、な?」

言われなくてもアイツの感触なんてどこかへ行ってしまっている。
それどころか身体は店長の感触をもっともっとと欲しがってる

普段は割と大雑把な店長が丁寧に丁寧に華に触れる、それがとても嬉しい

ビールの匂いのするキスが、クラクラするほど嬉しい

その全てを言葉で伝えられない事がもどかしい

大きな波にのまれてしまう気分だった

「あ・・・・・」

ふと思い出した事があってほんの少し我に帰る

「どうした?」

「えっと・・・・・」
ムードもへったくれもなく力の入らない身体を起こし、カバンをゴソゴソして小さな袋を差し出す

「なんだ?」

「分かんないけど、店長に渡せって・・・・・こうなったら」
「誰が?」
「元奥さん(普段は名前で呼んでますけどね)」
バリバリとこの辺は大雑把に袋を開けて「あのやろぅ」と複雑な顔をしていたけど、その時の華はそれが何かは分からなかった

(今思えばコンドームだったけど)

そんな風に一時クールダウンして体勢を立て直そうとする華を店長はあっという間に元の渦へ戻す

「挿れていいかな?華」
その言葉に頷いて、店長が何かをゴゾゴゾして、あてがう。

次の瞬間、雷にうたれた様な生まれて初めての痛みが駆け抜ける

「いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!」

「え?」
「だめ!店長!痛い!」
さっきまでの色っぽい空気はどこへやら、ほふく前進の背中版みたいな背中走りでどんどん上に逃げて、あっという間に布団から身体が出る勢い

「華」
「いたいいたいいたい><」←なにもされてない
「華、華、ちょっと聞け!しないから!」
「・・・・・はい」
「アイツの時も痛かったか?」
「ううん、全然」
「全然?」
「うん」
その返事に店長は結合直前の体勢のまま「うーん」と少し考えて

「アイツ、挿れる前にイったのか?」と答えを導き出した。

「分かんない・・・・・」
「よな?^^;」
「・・・・・・・・;;」
「華、お前、多分まだ処女だぞ」

そこで店長の「挿れる前にイくとは何ぞや講座」があり(結合直前姿勢のまま)華はやっと理解。

「ということは、華、店長に初めてあげられるの?」
「そういうことになるけど・・・・・痛くて嫌だろ?」
「痛くないもん」

と、ここから長い長い格闘の末(笑)華の初めては無事(?)捧げられた訳です。

※マンガにありがちなロマンティックな感じは一切なく、痛い痛いの大騒ぎでした。


翌朝、後頭部の髪はグッチャグチャだし、大泣きしたから顔はパンパンだし、シーツには血がついてるしで放心状態の華とニヤニヤの店長

「おい、華、ガニマタだぞwww」

その言葉に華はふくれっつらしてこう答える

「もう!店長なんか大ッキライ!」

闇の話 「1つ目の決意」

華がした2つの決意のうちの1つは休暇の終わりを区切りに店長の家を出る事。

元の仕事に戻るか戻らないかはまだ決まっていなかったけれど、いつまでも店長の家に転がり込んでいる訳にはいかないと思った

店長は華が夜中におトイレに起きるだけでも「どうした?」と目を覚ましたり、朝早い仕事をしているのに夜遅くまで華が眠るまで起きていてくれた

そんなことを長く続けていては申し訳ないと思ったし、そうするわけにもいかない

これ以上、店長に甘えていたら離れられなくなってしまいそうな自分を感じていたのも本当の部分だ

--------------------------------------------------------------------------------------


そう決めた時はまだ休暇は半分も終わってなくて、アイツと会ってからの華は犬みたいに店長の後をついて離れなかった。

店長も店長で野菜を積んだ軽トラの荷台に乗ってワキャキャする華に「落ちるなよー」と言いながら蛇行運転したり
直売所で「ウチのは美味しいよー」と売り子を始める華を指差して「こいつも誰かもらってってくれw」と笑ったり
半泣きで逃げ回る華をカエルを持って全力で追いかけてきたり、子供みたいに毎日はしゃいでいた



面白かったのは、店長がパチンコへ連れてってくれた時
おトイレに行ったら生理が来て、それを店長に知らせに行ったのだけど何しろ店内の音が大きくて

「店長、生理が来たよ」
「なに?」
「生理!生理が来た!」
「あ?なに?」
「生理が来た!!!!!!」
「おおおおおお!生理が来たか!」
と、ほとんど叫び合って(笑)大当たり中(手を離せない状態)なのに店長がパチンコそっちのけで華を抱っこして「良かった」と言った事。

「傍から見たら「店長の子供が出来てなくて喜んでる状態」だよね」と言ったら、隣でパチンコしてた常連のおじいちゃんに「そうじゃねーからな!」と睨みをきかせて「早く仕込まないと逃げられるぞw」と言い返されたw

毎日特別な事なんてない普通の生活の中で店長と華はいつもゲラゲラ笑っていた

広い広い畑でも2人がどこにいるか分かるっていつも言われた位


「連休前に泊まりでどっか行くか」
お昼を頬張っている時に店長がそう言い出した時も「行け行け、たまには静かに過ごしたいわ」と店長のお父さんが言って話はトントン進む



行き先は海の傍の温泉宿

「うまい魚が喰いたいなー」と上機嫌の店長は宿に着くなり温泉にも入らずビールを飲み始めた
「もぉ、すぐそれなんだから」とふくれっ面して1人で温泉へ向かい、壁伝いに「先に出るよー」「分かったよー」なんて話してる他のお客さんを「いいなぁ」という目で見ていたけど、脱衣場の張り紙でその意味を知る

「刺青のお客様の入湯はご遠慮願います。」

ああ、店長は温泉に入らないんじゃなくて入れないんだ
それなのに華が温泉に行きたいと言ったから・・・・・・と落ち込んだ

「ダメって訳じゃないんだ、他の人が嫌がるから時間を避けろって事 夜中にコッソリ入るよ」
店長はそう言ってたけど華は落ち込んで落ち込んで、何か方法はないものかとウロウロして「貸切風呂」があると知り
確か1時間いくらという感じの予約制だったのを、直後と寝る前あたりと早朝に予約し意気揚々と部屋に帰った

大浴場よりは小さいけれど、趣のある露天風呂に店長は大喜びしてくれた
「う~、生き返るなぁ」
「オジサンみたいww」
「俺はオジサンなんだよ、ばかやろうめw」
そんな会話をしながらまだ明るい露天風呂で華は店長の刺青をマジマジと見た
そしておっかなびっくり(痛いのかな?とか思って)背中を流す華に「洗って落ちたらいいのにな」と笑った


夕飯が済んで部屋でマッタリしている時、店長にライターをプレゼントした。

旅行の前に店長の元奥さんと買い物へ行って用意していたものだった。

「大事にするよ」
店長は嬉しそうに笑った。

2回目のお風呂は店長が先に部屋に戻った。

そうなるようにわざと長めに入っていたんだけど

脱衣場で同じく買い物で用意していた可愛い下着を着けて部屋に戻る(今なら分かる、ベビードールというもの)

「長かったなー、のぼせたろ?」

そう言いながら部屋の冷蔵庫からビールを出してくれようとする店長の前で、華は浴衣を脱いで真っ白なベビードール姿になった
なった、は良いけど、何を言えばいいか分からなくて、下を向いてるから店長の表情も分からなくて、沈黙に耐える。

「初めてじゃなくなっちゃったけど、とかそんな事は言わなくていいの 真っ白には「あなたで染めて」って意味があるんだからね」
元奥さんの言葉を思い出す
「アイツがその意味を分かるかどうかねーw鈍感だからw」
確かそう続いた・・・・・・



「店長・・・・・・何か言って・・・・・・」
これ以上言葉がなかったら泣き出してしまいそうなほど恥ずかしくて、やっと絞り出した言葉に応えるように店長が立ち上がる気配を感じる

「後悔しないか?」
「しない」
「俺、前もこう聞いたな」
店長がフッと笑ってほんの少し空気が柔らかくなるのを感じて顔を上げたら、店長が華をお姫様抱っこして布団へ歩き出した。

闇の話 「後悔」

「やっぱりメシ喰ってこうぜ」

久しぶりの外出で華がニコニコしていたから店長も楽しそうに車を走らせる

「華?」

その横で下を向いて苦しそうにしているのに気が付いたのは信号待ち

「どうした?具合悪いか?」

「・・・・・さっきの人・・・・・」

「え?」

「さっきの車の人・・・・・なの」

その言葉に店長は慌てて来た道を戻ったけれど、もうアパートにアイツはいなかった。


あの日から何となく立ち直っていた気がしていたけれど、顔を見てしまうとまるでその瞬間に戻ったような恐怖が心を支配する。

いや、違う。

あの瞬間よりも、それが終わって「現実なんだ」と受け入れてからの方がずっと恐怖だったし妊娠の可能性があると気が付いた時に感じたあの自分に対する嫌悪感はまだ消えていない。

アイツの顔を見て、もう大丈夫と言い聞かせていた気持ちのカサブタを無理矢理剥がされるような痛みを感じた


「俺、しばらくここを使っても良いか?」
「え?」
「ヤツは懲りてない。事前に連絡もしないでこんな時間に来るって事は、謝罪しに来た訳じゃない。」
「・・・・・」
「思い知らせてやる」

店長の声は怒りに震えていた。

「・・・・・・私もいる」
「それはダメだ」
「だって店長はアイツの顔を知らないでしょ?」
「・・・・・・・・」
「店長がするなら私も一緒にする。ダメだと言うなら使っちゃダメって言う。」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

譲らない睨み合いが続いて「お前に何かあったら・・・・・・」という言葉を「店長がいるから大丈夫なんでしょ?」で遮ると諦めたように「分かったよ」と鼻をつままれた


次の日から夜は2人でアパートで過ごした。

3日か4日か忘れたけれど、その位の間アイツが来る事はなくて
ほとんど眠らずにいる店長に申し訳ない気持ちでいっぱいで「見間違いだったかも」と思い始めていた
そう思う事でやりすごしてしまおうと思ったと言う方が正しいかな


だけど、アイツは来た

チャイムの音に心臓が飛び出るほど驚いた後に「華ちゃ~ん、いるんでしょ?」というあの声がして、華は店長にしがみついた。

「間違いないか?」
店長の声にやっと頷くと、ゆっくりと華の腕を解き玄関へ向かって歩いて行った


「華ちゃーん、俺、華ちゃんのせいで会社クビになったよー」
チャイムがノックに変わり、その力がどんどん強くなる中、店長がゆっくり鍵をあける

「うわ!」
その声と同時にゴロンと何かが床に倒れる音がしてゴツ!ゴツ!と聞いた事のない音がする

這うようにして廊下へ出ようとすると店長の「華!来るな!」という声がして慌てて顔を引っ込める

一瞬見えた景色

狭い廊下に転がるというより挟まってるみたいな状態で身体を丸めているアイツを鬼みたいな顔した店長が蹴ってた・・・・・

「おい!」
背中を向けて体育座りしていた華の肩を這ってきたアイツが掴む
「いや!!!!」
「お前が悪いんだ!お前のせいで俺は仕事をクビになったんだ!
お前が誘う様な格好をして仕事してたくせに!」
「やだっ!やめて!」

「ぐえっ」

後ろから襟を引かれ反り返るような姿勢になったアイツを床に叩きつけて店長が馬乗りになる

「今何て言った!」
店長の大きな握り拳がアイツの頬にめりこむ
「お前のせい?そう言ったな!お前のせいで華は大きな傷を背負うんだ!後悔を抱えて生きて行くんだ!」
アイツの視線が一瞬、店長の指に行って「ひぃぃぃぃぃ」と情けない悲鳴を上げてから「やめてください!許して下さい、許して下さい」と泣き付く

「華もお前にイヤだと言っただろ!やめてくれと言っただろ!言わなかったか?」
「言いましたぁぁぁ」
「なのにお前は止めなかったんだよな!なら俺はどうすると思う?!」
答えを待たずにまた拳がめりこむ

その光景に華は動けずにいたけれど、やっと店長の振り上げた腕にしがみつく

「店長!だめです!もうだめです!」
「華!こいつはお前に何をしたんだ!」
「そんな人の為に店長がコワい事をしたらヤダ!」

それはとても素直な気持だった。

店長の表情や店長の拳がアイツの顔にめりこむ音がとてもコワかった。
華のせいで、アイツのせいで、店長が店長でなくなってしまうみたいでコワくてたまらなかった。

「許して下さいぃ~、許して下さいぃ~」

ここぞとばかりに許しを乞うアイツの胸倉を掴み持ち上げ、店長が静かに言う

「よーし、お前の顔はもう覚えたぞ
今度華や俺の前に姿を現してみろ、生きてる事を後悔するような目にあわせてやる。」

聞いてただけの華でさえゾクリとするような言葉をぶつけてからの「分かったか?分かったなら返事くらいしろよ」と今度は優しくさえ感じる店長の声に「わ、わかりましたぁ」とアイツが首が取れるんじゃないかってほど頷いて店長が立ち上がる
逃れたアイツはまるでネズミ花火みたいにあちこちぶつかりながら、ドアの向こうに消えた

「コワい思いさせてごめんな、華」

おどけたように手の甲にフーフーと息を吹きかけ苦笑いする店長に恐る恐る近寄る

「痛い?」
両手で店長の手首を支え、一緒になってフーフー息を吹きかけ見上げると「なんともない」と笑うから指でつつくと「いてぇ!」と顔をゆがませる

「痛いんじゃん!」
「いてぇに決まってるだろ!現役の時だって俺は人なんか殴らなかった!」
「えー」
「何が「えー」だ!俺は頭脳派だったんだよ!」

うふふ、ははは、と笑い合って、店長がまた華を抱き寄せようとして躊躇する

「まだコワいか?」
「ううん」
「じゃ、いいか?」
「・・・・・・店長は私が汚くなったと思わないの?」

その言葉に店長がポカンとして、そんな事を気にしてたのか?と抱き寄せる

「俺はどんなことがあっても華を汚くなったなんて思わないぞ」
「本当?」
「当たり前だろ」

久しぶりの店長の胸の中は温かくて、心臓がドキドキしていた。
心地よくて、安心して、心の中の氷の塊が解けてくみたいな気持になって、涙がこぼれる

「バカだなぁ、お前は」

ゆっくりと髪を撫でてくれている店長の胸の中で華は2つの決意をしていた。

闇の話 「負の感情の矛先」

翌朝、驚くほど普通に「あがるよー」と店長の元奥さんがやってきた。

「あーあー、もう!」
カーテンも開けずボーっとしていた華を置いてけぼりにするように手際よくカーテンを開けて買い物袋を何個かドサっとおろしてお弁当を二つ見せて「どっちがいい?」と聞いてきた

「アイツのお金だから豪華なお弁当買っちゃったよ^^ ラッキー^^」

もしかしたら華じゃない誰かと会話してるんじゃないかってほど華の返事を待たず元奥さんはテキパキ用意をして「はい、いただきまーす」と手を合わせる

「ほぉら、華ちゃんも!」
そう言われて慌てて手を合わせたものの、風邪もあるから全然食欲がわかない。

モタモタと口に運ぶか運ばないかみたいな動きをしてる間に元奥さんは食べ終えて「いい?」と聞いてからタバコに火をつけた。

「大変だったね」

そう言われて「やっぱり知ってるんだ」と小さくショックを受ける。

「朝、アイツが電話してきてね
当面必要そうな下着とか服とかパジャマを買ってきてくれって言われたから届けに来たの」

「そうですか・・・・すみません」

「部屋にあるものを使わせたくないってさ、アイツなりの気遣いなのかね 体型も変わってないみたいで良かったよ^^」

「あの・・・・・・」

「ん?」

「イヤじゃないんですか?その・・・・・」

言葉を選んでる華に元奥さんは豪快に笑う

「ああ~、元旦那の家にってこと?
あのね、私とアイツは夫婦でもあったけど幼馴染なのよ
アイツの事はオムツしてる時から知ってるし、親の事もそう。
だから全然気にしないで」

「すみません・・・・変な事を聞いて」

「ううん、私もこれから言いにくい事言うから」

「え?」

「華ちゃんは生理の周期きちんとしてる方?」

「え?あ、はい」

「なら、その時になってもなければ検査しなくちゃね」

「あ・・・・・」

そうか、私はアイツの子供を妊娠してる可能性もあるんだ。
急に目の前がグニャリと曲がるような感覚がして、気持ちが悪くなる。

「大丈夫?ごめんね、言いにくい事だけど女同士の方がまだマシかなと思って」

「大丈夫です・・・・・」

「華ちゃん、辛かったね でももう大丈夫だからね
アイツが華ちゃんの事、絶対守ってくれるからね」


大丈夫。

その言葉は華を安心させるための言葉だと分かっている


でも、店長の口からでも元奥さんの口からでも華にとって同じ意味に感じられた


自分は守られていいようなキレイな人間じゃない。

その時はそう感じていた。


この辺は華の厄介な所だけど、それから店長は華に触れようとしなかった。(それは性的な事ではなく、例えば髪にゴミが付いたりしても同じだった)
汚い自分を触れさせたくないと思っていながらも、意図的に触れないようにされると悲しい

初めてを捨ててしまった自分に価値がないような気持ちすら感じて勝手に悲しくなってどんどん落ち込んでふさぎこんでいった


翌日、社長から電話があった

社長が「華が場合によっては警察に行くと言ってる」と言ったら男性はアッサリ自分のした事を認めたんだそうだ

社長は華が戻る戻らないは別として男性を即日解雇したがナナコさんについては引き継ぎ等があるのですぐに解雇は出来ない。

だから少し先にある連休までは有給扱いにするから連休明けに話をしないか?と言ってくれた

「悪かったね」

どうして社長が謝るのか分からなかったけど、深く考えずに返事をし1ヶ月以上の休暇をいただいてしまった。


その間、華は店長の仕事を手伝ったりして昼間は元気だったけれど店長と二人きりになるとふさぎこむという毎日だった。

「華ちゃんがこのままお嫁さんに来てくれればいいのに」

店長のお母さんの言葉にニコニコと笑いながら、夜になると「そんな風に言ってもらえる人間じゃない」と落ち込んだ



しばらくして、あのままにしてきている部屋が気になって一度戻りたいと言うと店長が一緒に着いてきてくれた。

悲惨な状態を覚悟してドアを開けると、吐瀉物はもちろん部屋中がきちんと片付いていて布団まで取り換えられていた。

「思い出す必要はないからな」

華が部屋でくさっている間に店長がちょこちょこ来ては掃除をしていてくれたらしい。

「・・・・・ごめんなさい」

「今はまだここに戻るのはダメだぞ?ずっと戻らなくても良いけどな」
照れ笑いする店長に寄り添いたい気持ちをグっとこらえて、必要な物だけバッグに詰めて部屋を出る。

「メシでも喰って帰るかー?」
「えー、明日も早いのに」

そんな会話をしながら車に乗り込みアパートから出ようとした時、すれ違う車

「ったく、あぶねえな」

「・・・・・・・・」

華はその車の運転手を見て、胃の中身がこみ上げてくるような気持ちになった


運転手は間違いなく、アイツだった

闇の話 「感情の矛先」

数十分後、ドアを叩く音とチャイムと華を呼ぶ声が一斉に聞こえる

「華!華!いるか?俺だ!」

店長の声に這うようにして玄関に向かって、鍵に手をかけたところで硬直してしまう。

「店長?」

「俺だ!何があった?あけろ!」

「本当に店長?」

自分で助けを求めておきながら、鍵をあけるだけの動作がコワくて出来ない



もし、店長の声を真似したアイツだったら?

店長の後ろにアイツがいたら?


そんな事をありえないと思いつつも拭いきれず、ブルブルと震える事しか出来ない


ドアの向こうで店長と誰かの声がして、少ししてまるっきり後ろ側のベランダから店長の声がして、閉まりそこねたカーテンの隙間から店長が見える

「俺だ、俺だけだ。 華、ここを開けろ」

背後からの声に飛び上るほど驚いて、それからまたヨチヨチと這って部屋に戻りガラスに顔をつける勢いで近寄って「本当に店長だけね?」と確認してから鍵をあける

店長は華の着衣の乱れや部屋に充満する異臭で全てを察したみたいに何も言わなかったし聞かなかった。

ただ、自分の上着を華に掛け支えるようにしてゆっくり車へ運んだ


後から知ったことだけど、隣の家の年配の女性に華の「いやだ、やめて」という声を聞こえていて、チャイムを押そうとした所で男性が部屋から出てきたから
最初は「お楽しみ」なのかと思ったけど、その後に泣き声が聞こえたから何度かチャイムを押してくれてたらしい。

店長にそれを伝え、ベランダを伝うように言ってくれたんだそうだ。


店長の家は広い土地の中に古くて大きな家が1つと小さいけど新しい家が1つ建っていて、店長はその小さい家の方に住んでいた。

「俺しかいないから、遠慮するな」

店長はそう言って、お風呂を用意してくれた

熱めのお湯を何度も浴びて、お風呂を洗うザラザラのスポンジで何度も何度も身体を洗った

むきになって思い切り力を入れたから、お湯につかる時全身がビリビリとしみた

「着替え、置いておくぞ」

ドアの向こうの静かな声に「店長?」と呼びかけて「何があったか聞かないの?」と聞いてみる

「言いたくなければ無理に言わないでいい、言って楽になるならいくらでも聞く
俺の予想が当たってないといいんだけどな」

「ごめんね、店長」

「別に謝らなくていい、俺しかここには」

「そうじゃなくて・・・・・・店長にあげられなくなっちゃって・・・・・」

「・・・・・・・出てから話そう」

今までに聞いた事がないような店長の何とも言えない声がバスルームにいつまでも残っている気がして、中々出る事が出来ずしばらく泣いていた


ブカブカのスウェットを着て部屋に戻ると、唇まで赤むけた顔に店長が一瞬ギョッとした顔をした

少し離れた所にペタンと腰をおろして、まるで他人事みたいにカーペットの一点を見つめたまま淡々と今日の出来事を話す
そうでもしないとその場所で、その人に話す事が出来ない気がした

店長はおそらく華をじっと見たまま話を聞いていて、話が終わった時「・・・・・畜生が」と缶ビールの缶を潰した

「華」

「はい」

「お前はどうしたい?」

「え?」

「そいつにレイプされたと警察に届け出たいか?会社はどうしたい?続けたい?辞めたい?
その男と女にどうしてほしい?」

「警察・・・・・・」

「ごめんな、でも、大事な事だから」

「警察には行きたくない・・・・・あの2人がいる会社には行きたくない・・・・・でも、仕事は嫌いじゃない」

「そうか」

そういって店長は華の携帯で社長に電話をかけ、事の顛末を淡々と話す
華に起きた事に2人の社員が関わっているようだ、その事実関係を確認し、会社としてどう対処するかを知りたい
それがはっきりするまで華を出勤させる訳にはいかないし、対処次第ではこのまま退職させて頂く事もある

店長は決して声を荒げる事もなく静かに用件だけを伝えて「それでは連絡お待ちしております」と電話を切って「必ず連絡するから今は身体と気持ちを休ませてくれって」と緩く微笑んで華を引き寄せようとした

「・・・・・いやっ」
とっさに身体を強張らせてしまった華からパッと手を離し2人で「ごめん」「ごめんなさい」と繰り返す

「華、お前は悪くない。
もう何も心配したり恐がらなくていい、俺に悪いとかそんな事も一切考えなくていい
ただ、1つだけ、俺はお前を置いて外で仕事をしなければいけない時間があるけど、その間に姿を消したりすることだけは絶対にしないって約束してくれ」

「・・・・・」

「頼む。」

「はい」

「よし、約束だぞ」

そう言って店長は華にベッドで寝るよう言って自分はソファに寝転んだ
私がそこに、と言うと「じゃ、俺は廊下に寝るぞ」と言われて申し訳なくベッドで眠る事にした。


あの時、店長は華が「男の人がこわい」と思って身を強張らせたと思っただろうけれど
そうじゃなくて、華は自分にあの生臭い精液の匂いとヌルリとした唾液が染み込んでしまっている気がして
ひどく汚れた自分を店長に触られるのが嫌だった

さよならのかわりに

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

闇の話 「裏切り」

華が転職した会社の社長は若くて徹底した実力主義な人だった。

自分がサラリーマン時代の徹底した年功序列を自分の会社では廃止したい。
その言葉通り、自分の仕事に責任を持てる人間はどんどん評価し、出世させた。

その中で華は自分より年上の男性の上司になってしまい、社内では「華は社長の愛人」という噂を立てられたりしたけど「どこへいってもこういう話はあるんだなぁ」程度にしか考えていなかった。

「どこでどんな恨みを買ってるか分からないからな、気をつけろよ」と店長にいつも言われていたなぁ

気にしいの華がその噂を聞き流せたのは、ある女性の存在があったからだ。

華と課が違うけれど、やはり年上の男性を追い抜いて出世したナナコさん。

「気にする事ないよ、私も同じ事言われた言われた^^」
ナナコさんのそんな言葉やさりげないフォローで華は仕事に集中できたし、噂を聞き流す事も出来ていた。

ナナコさんとは数少ない休日を一緒に過ごしたり、仕事終わりにお酒を飲みに行ったりと仲良くしていて「妹が出来たみたいで嬉しい^^」と言われるたび何だかくすぐったかった。

そしてやはり定番の「好きな人いないの?」という質問に、華は店長を思い浮かべながら答えていた。



そんなある日、華は高熱を出して会社を休んだ。
天井はグルグル回るわ関節はギシギシと痛むわ吐き気はするわでベッドから起き上がる事も出来なかった。

「大丈夫ー?」
ナナコさんからの電話にゼーゼーしながら返事をすると
「もう少ししたら仕事の手が開くから何か買って持ってくわ、だから鍵を開けておいてくれる?」
電話を切って、這うようにして玄関のカギを開け、また眠り、テレビの音が聞こえて目が覚めた

「ナナコさん?」
暗い部屋にテレビの明かりだけが眩しくて、その明りが照らす後ろ姿に話しかけた

「目が覚めた?」

その声はナナコさんのものではなく、華が追い抜かしてしまった年上の男性の声だった。

「な、・・・・・何をしてるんですか?ナナコさんは?」

「何をしてるんだろうね?」

そう言って立ち上がった男性はなぜか全裸で、ニヤニヤしながら自分の性器をしごいていた

「あの、帰ってもらえませんか?」

「それは無理だな このままじゃ気が済まない」

布団をはがれてパジャマの前ボタンを1つ1つ外される
もちろん必死で抵抗したけれど、身体に力が入らず その手は簡単に跳ねのけられてしまう

グニグニと胸を掴まれ、乳首に吸いつかれる

当然、痛いだけで全く気持ち良くはないのだけど、その痛みの感覚も高熱の向こう側で何だか夢の中みたいに鈍く感じる

それより何より、それは明らかにレイプなのだけど、男性の落ち着き払った感じや、いかにも「襲う」という荒々しさのなさ
淡々と自分の性器をしごきながらされている行為がそれこそ現実味を感じず「もしかしたら夢なのでは?」とさえ思った

「これは夢なんでしょうか?」
動けないままいる華の質問に男性は乳首から口を離し「は?」と言ってからニヤリと笑って「夢ならいいのにねぇ」と唇に吸いついてきた

そのヌルリとした気色悪い感覚と共に一気に恐怖が襲ってきてグッタリしたまま必死の抵抗をした。

「ナ・・・・・ナナコさんが来ます!」
「ん?」
「ナナコさんが見たら、あの会社に居られなくなりますよ!」

華にとって最大の武器である「ナナコさんが来る」を男性は華の下着を剥ぎとって足を開くついでみたいに答える

「ナナコは来ないよ、まだ分からないの?」
「え?来ますよ」
「俺は華のアパート知らないでしょ?」

「ナナコが俺にここの場所と鍵が開いてる事を教えてくれたんだよ」

その言葉が華の全身の力を完全に奪った。


どうして?という気持ち

また私は信じていた人に裏切られたの?という気持ち

それは華を「もうどうでもいい」と思わせるに十分な威力を持っていた

タイミング良くテレビから聞こえる「あはははは」というバカ笑いの声が、学習出来ない自分の馬鹿さ加減を笑われた気がして、思わず自分まで笑いだしてしまいそうな気分だった


男性はダラリとした華の足を開いて、少し撫で回して「濡れないな」と自分の手に唾をつけてアソコに塗りたくった

そして(今思えば、何度か挿れようとしたけれど場所が違ったのか、濡れが足りなかったのか)ほんの少しチクリとするような痛みを感じて男性が「ああああああ」と声を上げた

(多分、挿れないままか、ちょっと挿れた段階でイってしまったんだと思う)

「イったの?気持ち良過ぎて失神したかな?」
(今思えば「アホか!イったのはお前だけじゃ!」だけど)
男性はそう言って、イソイソと服を着て華の服を戻す訳でもなく玄関に向かい

「玄関のカギは締めた方がいいよ、変な人いるからね」と言ってそそくさに帰って行った


どのくらいか華はそのままグルグル回る天井を見ていた
男性の言う事ももっともだと思って無理に身体を起こしたら、アソコの周りとシーツから生臭いような変な匂いがして
その匂いで、ではないかもしれないけれど、猛烈な吐き気に襲われ(汚くてごめんなさいね)布団の上に吐いた。

玄関の鍵を閉め、そのままトイレに行って何度も吐いて、自分が泣いている事に気が付いた


また裏切られた

レイプされてしまった

大事な大事な華の初めてを、あんなやつに奪われてしまった



テレビの中の芸人が何をしても見えない誰かがゲラゲラと笑う声がする

華はその声に「ははは」と笑いながら吐くほど泣いた


そして全てが枯れた時、華はもうこのまま死んでしまいたいと思った

だけど自分で命を終えるなんて怖くて出来ない

自分の命がロウソクの火を消すように簡単な力で消えてしまえばいいのにと願った

今の体調なら、それも叶うかも知れない

じゅうたんの上に寝転んで寒さに身を縮めながら、朝になったら死んでいたらいいなと目を閉じる


その前に1つだけ謝っておきたい


最後の力を振り絞って華は携帯を掴み電話をかける


「おう、どうした?」

明るい店長の声に「うふふふ」と笑いがこみ上げた

「どうしたんだ?」

「ごめんね、店長 店長にあげられなくなっちゃった」

「おい!どこにいるんだ?」

明るい声が急に険しくなって、今度は涙がこみ上げてくる

「店長、ごめんなさい、お願い 助けて」

闇の話 「番外編」

華の借金生活が始まる頃、マリは学校のあっせんでした就職先を早々に退職し自分探しの旅をしていた。

例えば旅行へ行った先で住み込みで働いてみたり、美味しかったラーメン屋さんで修業をしたりと「今はここにいます」的なハガキが届くたびに住所が日本中のあちこちに変わっているような生活をしていた。

そのハガキを手に取るたびに「・・・・・大丈夫かな」と心配しつつも、その行動力と行動出来る環境が羨ましかった。


そんなマリと久しぶりに会ったのは華の借金生活が全て終わってしばらくしてからで、思い出話の一環として酔った勢いで華はマリにクーの事を話してしまった。

「許せない・・・・・」

今日に至るまでマリが泣いたのを見たのはその時だけだったし、マリが許せなかったのはクーでもあり華でもあった。

「どうして話してくれなかったの?私はそんなに頼りないかな?」


その時、華は自分がクーの事をごく限られた人にしか話していない事をどう説明して良いか分からなかった。

借金の件に関してはもちろん、同士や「なぜ、そんなにお金を稼がなければいけないか?」を話さないといけない場面でしか説明していない。

それを話して助けてもらいたいとも思わなかったし、可哀想だと思われるのも嫌だったし、と色々な細かい理由はあるのだけど
要するに自分の「恥じ」だったから言わなかったんだろうと思う。

友達という存在を持つのがコワかった

そんな気持ちをマリにどう説明して良いか分からず「そういうことじゃないんだよ」と答えを濁す事しか出来なかった事は今もマリに申し訳ない事をしたなと思う。




店長が店長を辞めてから、再び会ったのは2年近くたってからだったと思う。
それまで時々電話やメールはしていて、店長は家業を継いでから2度目の結婚と2度目の離婚をした。

ある日店長を呼び出して、お借りしていたお金を一括でお返しした。

「長々とありがとうございました」
カードを粉々に切り刻むより一番「終わった」という気持ちが強く自然と笑顔になる華とは対照的に店長は難しい顔をして受け取ろうとはしなかった。

店長の予想よりもずっと早く借金を完済出来た理由を華は嬉々として話し、遊んだりオシャレをしたりする時間がないほど忙しいけれど仕事が楽しくて嬉しいと元気な自分をアピールした。

「そうか、良く頑張ったな」

店長の言う「楽しいこと」を出来てない事については納得できない感じだったけれど、店長はそう言って華の頭をポンポンと撫でてくれた。


ここからの流れを書くのにクーの事を書いて、補足で別の事を書こうか時間の流れに忠実に書こうか迷ったのですが
ややこしくなりそうなので時間の流れに沿って書く事にします。



で、これは本当に番外編もいいところだけど、現在、店長はどうしているか?

闇から完全に抜け出した(今のところ)今も1年に1度、店長と華はお酒を飲んでいる。
店長は父の葬儀にも来てくれた。

「手を合わせて『俺が言わなくても知ってると思いますが、華はとても良い子ですよ』って言ったよ」と家族の前で泣けずにいる華の頭を撫でてくれていた。

「華が40になっても売れ残ってたら、俺がもらってやるわ」
店長は呑むたびにそう言う。

それが現実味を帯びてきていて若干コワい(笑)

闇の話 「大事な物」

華を助手席に放り込んで運転席に乗り込んだ店長は、少し乱暴に車を出してそのまま見えているホテルに車を入れた。

入り口の所はのれん?みたいなものがビラビラしていて、ネオンも部屋の外壁もいかにもイカガワシイですというような色合い
「これがラブホテルなのか」と暢気な華と景色を遮るように店長が車から降りて、華の手を引いて部屋に歩き出す。

「店長、痛い・・・・・」
正確には手を引くではなく、腕を掴むだったから華は何度かそう言ったけど店長は振り返りすらせず
これまたこれでもかってほど「ラブホテルっぽい」どキツイ赤(か、ピンク)のドアを開け、妙にテラテラした生地のベッドに華を放り投げるようにして上着を脱ぎ覆い被さるようにしてきた

車の中でしたよりずっと乱暴なキスに身をよじると、押さえつけるようにしてワイシャツを脱ぐ

それがどの程度なのかは分からないけど、その下に半そでを着てる位の感じの刺青が目に飛び込んでくる

「あ・・・・・」

それは華にはすごくコワいものに見えたし、店長が別の人みたいに感じられた

黙々と唇を貪るようにしながら今度は華の服を脱がせにかかる

買ってもらったブラが露わになって、店長がそこに顔を埋める

コワい、涙がボロボロとあふれてこぼれる

だけど華は嫌だと言わなかった

コワい気持ちももちろんあったけど、好きだという気持ちの方が勝っていたのかも知れない。


むしり取るようにスカートを脱がされたところで、店長が華の横に転がるようにして横になり「なんなんだ!お前は!」と枕をぶつけてきた

「あのな!どうせお前は金をもらった申し訳ない気持ちで身体を差し出そうとしてるんだろ?
そんな事に自分の大事な身体を使うなよ!」

その言葉に華は起き上がり、思い切り枕を振り上げて店長に振りおろした

「違うもん!店長が好きだから、初めてをもらって欲しいと思ったんだもん!
店長ひどいよ!そんな風に思ってたなんて!ひどい!ひどい!」

「お、おい!ちょっと待て!」
枕でボッコボコにされながらやっと起き上がる店長を華は枕で叩き続けた
「店長の事が好きなのに!ただ好きなだけなのに!もう会えなくなるのがイヤだから一緒に居たかっただけなのに!」
「華!」
抱えた枕ごと抱き締めて「分かった、俺が悪かった」と背中をさするようにされ華は悔しさにワーワー泣いた

「まさか本気でそう思ってるとは思わなかった、悪かった。
だけど、それならもっと自分を大事にするべきだ」

やっと泣きやんだ華に店長は何度もキスをしてくれたけど、それ以上の事はしてくれなかった
下着姿で抱きついたり足を絡ませたり、華はやりたい放題に甘えたけど(誘ったけど)店長はただただ可愛がってくれただけだった

「あのな」
「はい」
半分眠っているような状態で店長が華を抱いたまま話し出す
「ウチの若いのがある日「面白い子がいる」って言ったんだ
そういう話はよく出てたけど、面白いっていうのは普通は「もうこんなヤクザから金を借りたりしない!」って怒鳴りながら最後の金を投げていった客が何日もしないうちに猫撫で声で金を借りに来り
急病で病院に入院してるから返済にいけないっていう電話の向こうで自動ドアが開いてパチンコ屋の音がガンガン聞こえてたりな
そういう事を「面白い話」としてしてたんだ
だけど、その時の面白い子っていうのは額面的にはそんなに大きくない給料袋を開けもしないで返済に持ってくる子がいるって話でな
しかもそれをいくつもいくつもセッセセッセと返済に来るって話でな」
「それって私?」
「返済するたびに『残りはいくらですか?』って聞いて帰るって、そうお前の事
俺はそんな子を「面白い」って表現するのが理解出来なくて怒鳴りつけた事がある
それから何度か華が来るのを見てて、この子は何が楽しくて生きてるんだろうなって思ったんだ
本当ならもっともっと楽しい事ばかりの頃なのに、って見てて悲しくなった」

なんて返事をして良いか分からず、ぴとりと寄り添うようにするとその身体を抱いて話は続く

「最初、お前を誘った時は、話してみたいなっていう軽い気持ちだったな
だけど、会えば会うほど、知れば知るほどお前が気になって
お前にもこれでもかってほど色々な事があったしな、目が離せなくなってたな」

「それって好きってことじゃないんですか?」
華の言葉に店長が小さく笑った

「好きなんだろうな、お前の事」
「だったら・・・・・」

「正直、今だってお前を俺のものにしたい気持ちと戦ってるよ
でもな、俺はお前が胸を張って「私の彼氏です」って親や友達に紹介出来る男じゃないんだよ
それはお前にだって分かるだろ?」
「・・・・・・」

「もし今、お前の初めてをもらったら、それこそ俺はお前を離せなくなるよ
誰が何と言っても、お前がどんなに肩身の狭い思いや恥ずかしい思いをしても
だから分かってくれ」

「分かんないよ・・・・・・」

どこまでも引かない華に店長は困ったような嬉しそうな笑顔を見せる

「俺は『店長』じゃなくなっても変わらないぞ、お前に会いたいし、助けになりたいし
美味しい美味しいって食べてる顔みたいしな
完済したら1年間、好きな事をしろ
友達と遊んで、恋をして、オシャレして、ウマイものを喰え
とにかく楽しい事をたくさん経験しろ
それでも俺の事を忘れずにいてくれたら」

「忘れずいたら?」

「その時はもう少しキレイなホテルに来ような^^ ここはいくらなんでもコテコテ過ぎる^^;」

その夜はそのまま胸の中で眠った。

次の日、またキスをして手を繋いだままアパートへ帰った。

「なにかあったら変な遠慮しないで必ず電話しろよ」
「はい^^」
「無理して返済するなよ」
「はい^^」
「よし、じゃあな」

走り去る車を華はいつまでも見送って大きく手を振り続けていた。




華の闇の中の幸せな時間はこれでほぼ終わる。

それから1年以上店長には会わなかった

店長との後日談と、華の初めての行方はまた後日。


華はある意味運がいいんだと思うんだけど、軽い気持ちで転職した先でトントン拍子に出世する
当然、仕事量もハンパではなく休みもほとんどないような生活だったけれど、仕事は楽しかったし、何よりお金を遣う用事がなかったから(ほとんど会社支給)どんどんお金が貯まり、どんどん返済できた。

月々の返済をしながら、華は一つの会社を集中して多く返済していく作戦を実行していた

一つのカードを完済するたび、それを小さく小さく切り刻んで大きく伸びをするのが何とも気持ち良かった。

お昼前の出来事

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

おそろい

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

失礼しちゃう

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

闇の話 「私の初めて」

「もっと一緒に居たい」

倒れたシートに身体を預けたままの華の言葉を店長は即答で「ダメだ」と言った。

「どうしてですか?」
「ダメなものはダメだ」
「嫌いなんだ・・・・・・」
「もうその手はくわないぞ」
ピシャリと言い放たれて打つ手なしの華は拗ねたようにシートを起こして窓の外を見た

「あのな」
店長がそんな華の背中に話しかけてくる
「俺はお前のこの先にふさわしくないんだ。
お前より親との年齢が近い俺が、しかも手を隠してる俺が、お前を幸せにするって親に言って親が喜ぶか?
何のために大事に大事に娘を育ててきたんだって思うぞ
何度も言うけどな、お前にはこの先、親や友達に祝福されて幸せになる権利を持ってるんだ
それを一時の感情で台無しにするな。」

「私は店長がいいんだもん」
「それは今、お前の周りに優しい大人が少ないからだ」
「違うもん 店長が好きなんだもん」
「本来なら出会う必要がなかった人間だ。もう忘れろ。」

そう言って店長は車を出した。

さっきまでの熱い空気はどこにもなくて、車内は冷ややかな空気になってくねくねとした峠道を降りていく。

街に降りる途中にホテル街があって、華は最初、食事じゃなくてそこへ行くのかとドキドキしていた

「店長」
「なんだ?」
「私の初めてを店長にもらってほしいです。」
「まだ言ってるのか?」
「もらってくれないなら歩いて帰るから車を停めて下さい」
我ながら子供じみた発言だし、とてもじゃないけど歩いて帰れる距離じゃなかったけど、もうそれしか考えられなかった。

この車が華のアパートの前に停まったら、店長に二度と会えない気がしていたから。

それに店長が歩いて帰れと言う訳もないとたかをくくっていた。

「そうか。」

店長はそう言ってあっさり暗い峠道に車を寄せた。
まさかそうされるとは思ってなくてポカンとしている華に「気をつけてな」と追い討ちをかけるから、華は車から降りざるを得なくなった。

「・・・・・」

助手席のドアを閉めるのと同時に店長はこっちも見ずに車を出し、テールライトはあっという間にカーブの向こうに消えた。

一気に心細くなった華は歩き慣れないヒールの高い靴をずるようにして歩いていたけど、少しも行かないうちに足が痛くなってしゃがみこむ

どうしよう、店長本当に帰っちゃった。

店長を怒らせてしまった。

街の明かりなんてまだまだ小さく見えるような峠の途中で、独りぼっちで、足は痛いし、店長とも二度と会えない。

だけどそれが全部自分の招いた事だってことも十分承知してる。

脱いだ靴を両手に1つづつ持って、トボトボと歩き出す。

どうにかして帰るしかない。

そして何とかして店長に謝らないといけない。

「ギャア!」という変な鳥の鳴き声にビクビクしながら満足に街灯もないような道をひたすら歩く。

泣いたり立ち止まったり、何かの声に動けなくなって茂みを見つめたりしていたから、きっと距離的にはいくらも歩いてないだろうけどとにかく時間だけは過ぎていくつめかのカーブを過ぎたあたりで遠くにホテル街のネオンが見えてきた。

きっと1人じゃ泊めてもらえないんだろうな・・・・・

店長と一緒に泊まりたかったな

もっとたくさんキスして欲しかったな

そんな事を考え出すと余計に涙が止まらなくなって、せっかくのキレイな洋服の袖元は涙と鼻水でベチョベチョになった。


「おい」

いよいよホテル街という所で手前に店長の車が停まっていて、外で寄りかかるようにしてタバコを吸っている店長がいた。

「・・・・・店長」

「おいおい、ひどい顔だな」

呆れたような声の先へ最後の力を振り絞ってトボトボと歩み寄り、抱き寄せられるとホッとしてまた涙が出た。

「少しは懲りたか?バカガキめ」


「・・・・・ない。」

「ん?」

「懲りない。初めての人は店長がいい。」

それこそぐっちゃぐちゃの顔の華を見つめる店長の顔は冷ややかで、力づくで華を助手席に押し込んだ。

いとおしい手

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

闇の話 「デート2」

その後、お昼を食べてから2人でフラワーパークへ行ったのだけど季節的にあまり花が咲いていなくて、店長はガランとした寂しい光景に「だから俺はデートなんて分からないって言ったんだ」と少し不貞腐れていた

人気のない園内をブラブラと歩きながら、お互いに借金の話は避けていたけれど、共通の話題となるとどうしてもクーやポコちゃんなんかの話になってしまう。

「華はどんな高校生だったんだ?」

その質問に華は「普通のおバカな学生だったと思いますよ」といくつかのエピソードを話すと、店長は大声で笑いながら「それは普通って言わないぞ、バカ過ぎる」と喜んでいた

店長はいつも片手だけ黒い皮の手袋をしていた。
指のない方、というのは分かっていたけれど、華が勇気を出してその手を繋ぐと、数秒経って立ち位置を替えて手袋をしていない方の手を店長が繋いできた。
「人がいなくて良かった、いたら恥ずかしくてこんなことできん」
その言葉の先を見上げてニコニコ笑うと照れたようにそっぽを向く

店長は華が避けていたダイの話をした。

荷物を届けに行った時に自分も一緒に帰れるものだと思ってイソイソと靴を履こうとしていた事や、やっぱり帰り際に泣いた事など「ダイのためだとはいえ、やっぱり淋しかったな」と簡単な報告みたいに言った


華がダイの話題を避けたのは思い出して悲しくなるからというのもあったけれど「一緒に親になる」と言った言葉を蒸し返しそうで嫌だった
あの言葉はダイがいたから出た言葉だってことくらい、華にも分かっている。
「ダイが居なくても有効か聞きたがってる」と思われたくなくてダイの話題をさけた

「悪かったな、あの時は乱暴にして」
「店長がああしてでも引き離してくれなかったら、店長の言うとおり、ダイが辛くなるだけだったから」

お互いに触れないように気をつけてる部分がありながら、伝えたい事だけは伝えるみたいな変な空気の会話が続いて長い長い散歩が済んだ頃にはもう日が沈み始めて肌寒く感じていた。


店長が夕食に連れて行ってくれたのは小高い場所にあるログハウスみたいなレストランで、落とし気味の照明の向こうにとても綺麗な夜景が見えた。

「あんなに歩いたのは久しぶりだ」「明日筋肉痛なんじゃないですか?」「年寄り扱いすんな!バカヤロウ」なんて会話が一旦途切れた時に、店長がポケットから細い箱を取り出し視線で「開けてみな」みたいにする


開けてみるとそこには白くて可愛い石の付いたペンダントが入っていて、顔を上げたのと同時にそれに店長の手が伸びて華の首に着けられた。

「これって・・・・・」
「何て言ったかな?ムーンなんとかって言ってたな」
「いえ、そうじゃなくて・・・・」
「待ってる間、暇だったからな 何となく見てて買っただけだ」
「でも・・・・・・」
「女は?」
店長の言葉に頑張ってニッコリ笑って「ありがとうございます」と言うと満足そうに「よし」と笑顔を見せた


店長といるのはとても安心した。
それは色々な物を買ってくれるからとかお金の心配をしなくていいからではなく、甘えているとか守られている気持ちがすごく満たされていたからな気がする。
華は1回り以上いや、2回り近く年上のと言った方がいいくらい年上の店長に確実に惹かれていた。
それはもちろん男性としてという部分がほとんどだった気がするけど、ほんの少しだけ父親に甘える子供の部分もあったように今は思う。



すごく美味しいハンバーグを食べてから夜景のきれいな公園の駐車場に車を停めた。


「店長、あのね」

そこで華は最悪だったファーストキスの話をした。
それから自分が異性を少しコワいと感じている事も、その後に襲われかけた事も
それを仕組んだのがクーだと言う事も

「俺はお前をすごく不思議に思うよ」
「何でですか?」
「そんな事をされて、今の辛い生活を強いられている人間の子供を あんな風に愛せる事が」
「だってダイには罪はないもん」
「お前には強いとか弱いとかいう事より、深いという言葉を感じるな」
「深い?」
「良い思いも悪い思いも深い。だけど悪い思いを一生懸命に抱かないようにしてる」

そんな話の途中で華は体勢を少し変えて助手席から完全に運転席の方を見るようにする

「なんだ?」
「やり直したいんです、最悪の思い出を」
「なんだ?利子のつもりか?」
茶化すように笑う店長を真っすぐ見つめたままいたら、すごく困った顔をして続ける
「あのな、これからお前にはもっと若くて良い男との出会いが待ってる。
そいつのことを本当に好きだと思ってしたら、最悪の思い出なんて消えてなくなるよ」
「店長が良いんです」
「俺じゃダメだ」
「店長じゃないとイヤなんです」
助手席に正座してキスをして欲しいとねだる華とそっぽを向く店長

何度も「してほしい」「ダメだ」を繰り返しているうちに駄々っ子みたいな自分に泣けてくる

「分かりました、店長は私のこと嫌いなんですね」

そう言って元の体勢に戻ろうとしたところで「まったく」と店長がこちらに顔を向け華の顔に手を伸ばしてきた
肌の感触と手袋の感触に包まれた途端、緊張している華に「後悔しないか?」と店長が聞いて目を閉じたら、ゆっくりと店長の唇が華の唇に軽く触れた

「ううん、こんな子供みたいなのじゃなくて」
離れたばかりの唇がもっと深いキスを求める
高校生の頃、本で読んだ知識をそのまま「ディープキスって好きじゃなーい」なんて言ってたけれど、本当はそれがどんなものかも知らなくて
とっさに「ディープキス」という言葉も浮かばなくて「子供みたいなのじゃなくて」と表現した

「学校でそんなことされたのか?」
「ううん、それはしたことない」
「なら、それは・・・・・・」
「店長にして欲しい」
鼻がぶつかるほどの距離でそんな会話を交わす
もう店長は「ダメだ」とは言わず、指で華の口を少し開くようにしてからゆっくりと舌を絡めて来た

生まれて初めてのディープキスは口の中で何がどう動いているのか全然分からなかったし(笑)どこでどう息継ぎをすればいいか分からずいて苦しくてたまらなかったけど(それは今もだけど)
何の不安も恐怖もなく、身体を支える手と、髪や顔を撫でてくれる手袋の感触が華をとても幸せな気持にさせた。

どのくらいの時間、それを繰り返したかは分からない
何度唇が離れても視線だけは絡んだままいるから、すぐにまた舌を絡めて欲しくなってしまい、言葉にしなくても店長はそうしてくれた

いつの間にか助手席のシートは倒れていて、唇と視線が離れた時もしばらく華はグッタリしたまま動けなかった。

「大丈夫か?」
「店長の言うとおりだった」
「何が?」
「嫌な思い出は消えて無くなった」
呆然としたままやっとしゃべってるみたいな華に店長は「バカヤロウ」と優しく笑った。

闇の話 「デート」

「若い子が喜ぶデートなんて分からない」
店長は何度も何度もそう言っていたけど、結局数日後、朝から一日のデートの約束をしてくれた。


華は何となく分かっていた。
店長がお店を辞めたら華に会う気がないんだと言う事を
「振込先を教えて欲しい」と言った時「会った時でいい」と言ってくれる(なぁなぁで返すという意味ではなくて「今まで通り会う」という意味で)と思っていたけど、そうじゃなかったところで
店長は今までの関わりを切り離したいんだろうなと分かったから、どうしても一度でいいから普通に会いたかった。

約束の日まで華はソワソワとして、当日の朝にシャワーを浴びて無駄毛の処理をしたのをすごくよく覚えているし、一度のジャンプで買ったまま放置していたお化粧品を「何をどこに塗るんだっけ」と迷いに迷って塗りたくって悪役レスラーみたいな顔になったのも、よーく覚えてる
そうしている自分が何だかとっても恥ずかしくて、結局、表向きはいつも通りのスッピンで出掛けて行ったけど安物のカミソリで負けた肌がヒリヒリとしていた


「おはようございます」
「おう」

いつものバカ話もなくデートが進む
どこへ連れて行ってくれるのかと思っていたら、車はデパートの駐車場へ滑り込んだ

「似合いそうなのをいくつか!変にいやらしいのを選ぶなよ!」
店員さんにそう言って華を差し出したのは下着のお店だった

「あんた!こんな若い子をどうする気なの!」
「ばか!どうもしない!あの子だ!」

店員さんと店長のやりとりをポカンとして見上げていたら店員さんが「あ~、あの子なの」と急にニッコリして戸惑う華を試着室へ押し込んだ

「え!!!!!!!」
テキパキと服を脱がされメジャーでサイズを測られて何が何だか分からないまま、とてもキレイなブラを着けてもらう。
「サイズは合ってないわ、ボロボロだわ、あんなブラじゃせっかくキレイな胸が勿体ないわよ」
「あの・・・・・」
「私、別れた女房。あなたの話は聞いてるの。あ、でも全然気にしないでね、変な関係じゃないから^^」
「はぁ・・・・」
そして着けたブラとお揃いのパンティ(値札にそう書いてあって「パパパパパパパンティ!」って思ったんですよ 大人のパンツだ!ってwww)をはくように言われて何が何だか分からず、その人の前でスカートをまくりあげると
カミソリ負けして血がにじんでいる足が見えてしまって、すごく恥ずかしくなった

そこからはもう口を挟む隙もなく、オシャレな紙袋を持たされ、そのまま休憩に入った元奥さんと服や靴を次々試着してその場で着替え続けた。

「どう?見違えたでしょ^^」
「おう」

ほとんど全ての衣類を替えた所でやっとタバコを吸っている店長の所へ戻され「じゃーね」と去っていく後ろ姿にやっと「ありがとうございました」と言えた位慌ただしい時間だった

「あの・・・・・」
「気に入ったか?」
「私、こんなにお金持っていません」
「バカか!そんなこと気にしないで自分の姿見てみろ!」
そう言われて通路のガラスに映る自分を見た
可愛い服を着ているけれど相変わらず猫背で弱ったような顔をしてるからすごくアンバランスな姿の自分がいる

そして朝にしてきた精一杯のオシャレが店長にはとってもみずぼらしく感じられたのだなと悲しくなった

冷静になって考えてみると店長はいつもスーツでビシ!っと決めていて、どんな高そうなお店でも違和感がないけれど
その横でソワソワキョロキョロして「いくらくらいするんだろう」なんて事で頭が一杯の華はきっと誰がどう見ても違和感しかないはずだ

何を見ても何をしてもらっても「ありがとうございます」ではなく「それにどれ位お金がかかるか」しか見ていない自分が本当に本当に悲しかった

「ごめんなさい、いつもみっともない格好をしていて」

泣き出しそうな華の手の紙袋をとって店長が言った

「バカヤロウ、そんな意味でしたんじゃない。デートってのはこういうものだろ?」
「・・・・・・・何か買って欲しくてデートしたいと言ったんじゃありません」
「分かってるよ、俺がしたいからしてるんだ
おいおい、こんな所で泣いて俺に恥をかかせる気か?
男が女の為にしたんだ、女はニッコリ笑って「ありがとう」で良いんだ」
「・・・・・ありがとうございます」
「よし、ここは恥ずかしい!行くぞ!」

店長は半べその華の手首を掴んでズンズンと歩き出した

 | HOME | 

 

はじめまして

木蓮

Author:木蓮
木蓮と言います。
ちょっとだけお引越ししましてドキドキしております。

基本アホな事を書きますが時に「いやらしい事」を書く予定がありますのでご用心(≧∀≦)ご用心て…。

毎日の色々な想い・想い・重い(ボディ)をワキャキャと書いていけたらいいなぁなんて思っております。

初心者であまり仕組みを理解しておりませんが、リンクしていただけたりすると嬉ション漏らす勢いで喜びます(≧∀≦)嬉ション!

こんなお下劣な木蓮でございますが、どうぞよろしくお願いします。

最新記事

最新トラックバック

最新コメント

来て下さった皆さまー(≧∀≦)

月別アーカイブ

カテゴリ

想う日々 (834)
このブログになった経緯の話(木蓮が出来るまで) (7)
日常の話 (450)
闇の話 (100)
どうでもいい話 (14)
「ハナ」だった頃の話 (34)
父の話 (31)
美デブ道 (210)
過去記事 (268)
ゴスちゃんの話 (15)
未分類 (34)
オネェ (78)

(*ノωノ)ランキングデスッテー

FC2Blog Ranking

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
アダルト
8237位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
SM
312位
アクセスランキングを見る>>

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

 

おリンクー(≧∀≦)したいですー

このブログをリンクに追加する

チラッチラ(*ノω゚)ノ

FC2Blog Ranking

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR