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想う生き物

様々なものを「想う」毎日を「明るく・楽しく・いやらしく」ワキャキャと書いていきたいです。

2017-04

闇の話

ワキャキャな話が続いたので色んな意味でちょっと整理する話を。

今は聴力が戻った華だけど、その原因は不明
聴こえなくなったのも突発的なら、聞こえるようになったのも同じく突発的で残念ながら治療が功を奏してではないような気がしてる。

ここに書くことがたくさんあったから後回しにしてしまっていたけれど、華は一度、精神科へ治療へ行った。
やたらと光が差し込む清潔感溢れる診察室で「楽にして、不安な事があったら話してみようか」と物凄く温度差を感じる笑顔の医師が言った

華はそこが居心地悪く感じて、父の話を切り出した時も「あ~、なるほどね そういう人は~」という言い方が医師の経験してる患者サンプルに華を当て込めようとしているようで、ちょっと嫌な感じがした。

だからロクに深い話もしないまま何となく診察を終え、そそくさにその場を後にしようとしている華に医師がこう言った

「お父さんの事が引き金にはなったかも知れないけれど、元々抱えている物があるんじゃないかな?ゆっくりそこを掘り下げていきましょうね」

結局聴力が戻ってから治療へは行っていないけれど、華はその日から自分の元々ある『何か』を意識するようになっていた。


どうして自分の事をこんなに嫌いに思っているのか


太っているからとかブサイクだからとか言ってるけど(それもあるけど)本当の理由はそうじゃない。


ここから先に話す事の全てを知っている人はいない。
おおまかな部分を知っている人もこの世にマリしかいない。

あまりにもバカで無茶苦茶な話だから、下手な創作文章と思ってもらってもかまわない。

もう20年前のバカバカしい華の闇の話。

タイトルに常に「闇の話」とつけるのでイヤな人はスルーして下さいね^^

闇の話 「好きな人」

クーに親友になろうと言われてから、生活が激変した。

それらはこの年齢の頃にはよくある話なんだけど、したかろうがしたくなかろうが一緒にトイレに行き、毎時間交換手紙をしないといけなくて、家に帰れば電話で長々と話し、寝る前に長めの手紙を書く。
手紙の最初に「親愛なる」をつけないと怒るし、他の友達と話すと誰が見ても分かるような不機嫌な態度をとった

元々こういう「群れる感じ」が嫌いだったから何度となく「もう無理」とケンカ別れをしたけれど、その都度クーは昼間の激怒っぷりを一転させる号泣で「ごめんね、親友でいさせて」と夜に電話をかけて来て仲直りをするの繰り返し

クーは身長が大きくて体格も良く髪も短くしていた(華が言うのも何だけど大きなおでぶさん)けど、オシャレの話題やメイクなどにも敏感な子だった
一方華は背が小さくコロンとしていて、短くすると天パが強く出るという理由だけで髪を伸ばしているようなオシャレもメイクもあまり好きじゃない子だった(小さなおでぶさん)

クーは華のする事に常についてくるから後に始めたバンドも一緒だったし、生徒会も一緒、元々クラスも部活も一緒。
「いつ見ても一緒に居るな^^」なんて先輩達にも良く言われたけど、「親友だから^^」と答えるクーの横で華は少々ウンザリ気味だった。

華とクーの絶対的な差は性格だった

クーは人見知り気味で慣れると表情豊かに話すのに、そうじゃない人には不機嫌そうな顔で話したくないという雰囲気を醸し出す
一方、誰とでも平気で話ゲラゲラ笑い、先生に「華はトイレの100w(明る過ぎるという意味?)だな」と言われる華

だから華が知らない人と楽しげに話しているとクーが横に来て不機嫌な顔をするから、その人が気を使って離れていくと、友達が作りたい華にはそれがストレスでケンカという同じサイクルをグルグルと回っていた


ま、思春期に良くある人間関係な気がしてる


そんな中、バンドや生徒会で何かと目立っていた華に人生初のモテ期がやってきた。
呼び出されて告白されたり、ベタに下駄箱にラブレターが入っていたり、電車通学だったので駅で待ち伏せされたりと本人が戸惑うほどモテた。

でもその頃華はバンドも部活も面白くて仕方なかったし、バンドの練習などで何かとお金がかかったからバイトもしたかったし
父が「バイトは地元以外では禁止!門限は7時!」とありえない厳しさであることと田舎の電車の本数が少なかったこと
何よりクーの束縛でいっぱいいっぱいだったから全て丁重にお断りしているうちにピタリとそれも止んだ(笑)


「ねぇ、華には好きな人いないの?」
クーはほとんど毎日それを聞いてきた
当時本当にそういう人がいなかったから華は「いないよ」と答えたけど、クーはそれが面白くないみたいだった
「私達、親友でしょ?好きな人の話出来ないなんて変じゃない?」
「しないんじゃなくて、いないんだよ」
この会話もイヤと言うほど繰り返した

クーには中学からずっと好きだと言う人がいて、数え切れないほど告白をしては断られているのにその人を追って高校受験し、部活に入る。
吹奏楽部の1つ上の村田先輩。

実は華、この村田先輩がとっても苦手だった
だって何もしてないのに頭を叩いたり(軽くだけど)人のジュースを勝手に飲んだり、カバンを隠して探してる姿を笑いながら見てたりする意地の悪い所が苦手だったし

そうやって村田先輩が華を構うと必ずクーの機嫌が悪くなるのが本当に嫌だった

何より理不尽だったのは、クーの「協力して!」で村田先輩に何かを聞きに行ったりして、構われて、それを見たクーが怒るという流れ

「先輩って華の事好きなのかな?」
「いや、それはないでしょ」
「ううん、絶対好きだよ」
「ないない」
「本当は華も村田先輩を好きじゃんじゃない?」
「絶対ない!」
「本当?」
「本当」

というご機嫌取りを長々しなければいけないから



2年生になる少し前、引退した3年生の部長に部室に閉じ込められた事がある。
「お前が俺を好きだと聞いた 俺も好きだ」
そう言われて「そんな気持はない」と答えた事が部長のプライドを傷付けてしまったらしく、怒った部長は「キスをするまでここから出さない」と狭い部室内を逃げ回る華を力一杯壁に押し付けてキスをしてきた

用意周到にミントの味のする唇が思い切り押し付けられただけのキスだったけれど、華の最悪なファーストキスの思い出。

2年生になってしばらくして、村田先輩に告白をされた。
華はそれは絶対に受け入れられない事、そしてこれを絶対に外部に(クーに)知られたくない事を念押しした。

それなのに村田先輩は自分の引退の時に、しつこいクーへの当て付けで部員の前で華にもう一度告白をした。


3年生になる少し前、授業をサボッて部室で本を読んでいたら村田先輩と同じ1つ上の先輩が来て「お前、誰にでもヤラせるんだろ?」と言われ、襲われかけて
抵抗したら分厚いガラスに頭を叩きつけられ病院に運ばれた事がある。
幸い、襲われもしなかったし、傷も浅かったけれど、授業をサボった事がバレて散々怒られたイヤな思い出。

そして何故か華には「ヤリマン」という噂がつきまとった。
セックスはもちろん、あのキス以外のキスすらしてないのに廊下ですれ違いざま男子には「揉まれまくってデカくなった乳」と言われ、女子には「ブスだから身体使うしかないんだね~」と言われたりした


そして3年生になったある日、華は知る。

村田先輩の告白以外は全てクーが仕向けた事だという事を

闇の話 「きっかけ」

華がそれを知るきっかけは実にシンプルな事だった。

華と同じ中学から来ている唯一の子とクーが知らない間に仲良くなってしていて交換日記をしていた
その子がものぐさして別の友達にクーに日記を渡すように頼んだのだけど、きっと別の友人もものぐさなのか良く聞いていなかったのか華にそれを渡してきたのだ

「これ、みどりちゃんから」

そう言われて渡されたノートを何気なく開くと1ページ目は交換日記のお約束的な事が書いてある

①1回は必ず華の悪口を書く事

②華の不幸を祈る事を忘れない事

良く覚えていないけれどそんな感じの事がズラーっと書かれていて、内容は実にそれに忠実なものだった。

「レイプされれば良かったのにね」

「頭が割れて死ねばよかったのにね」


日記のルールに対しては実に忠実だった同じ中学の子は友情に対してはそうでもなかったらしく、日記を返却しようとしたら聞いてもいないのに色々な事をペラペラとしゃべり出した

「全部クーちゃんがやろうって言った事だよ!私は断れなかっただけだよ!
村田先輩に色目使って気に入らないから襲わせるって事も、下駄箱のラブレターを華より先に取って破って本人に返しに行って「あの子はヤリマンだから止めた方が良い」って噂を流したのも全部クーちゃんがやろうって言ったんだよ!信じて!華!ごめんね!本当に友達でいたいのは華だからね!」

信じても本当はも何も元々友達じゃないから、別にどうでも良かったけれど1つだけ気になった

「ていうか、みどりちゃんに嫌われる覚えがないんだけど・・・・・」

その答えは実に青春チックで実にバカバカしいものだった

「片思いしてたクラスメートに華ちゃんを紹介してって言われてショックだった」

知らんがな!

「私達、友達でいわれるよね?」
みどりちゃんの媚びるような笑顔は今も忘れられない

「は?元々友達じゃないよね?」



と、ここで少し補足をすると、華は決して可愛くはなかったと思う。
でも、人生で3度あると言われているモテ期を1度で消化したのか何だか高校時代は妙にモテた。
学校行事やバンドで何かと目についたという理由と性格の明るさと・・・・・胸だと思う。



2人の交換日記には華の文句が多かったけれど、胸の事と人懐っこさがムカツクというのは本当に良く書かれていた。
でも考えてみて欲しい。
太っていてもブサイクでも明るく人懐っこければモテる可能性があるってこと
少なくとも友達ヅラして聞き出した事をボロクソに書いてストレスを発散するよりはずっと視界が明るいはずだ

そう思っていたから不思議とショックはなかった。
むしろこれでクーの束縛から離れられるとホッとしていた。

「クー、これ、みどりちゃんからだって 間違って私に届いたよ」
差し出したノートを見てクーの表情がみるみる変わり、奪うとるようにされたけど華はノートの端を離さなかったからグイと引っ張り合う形になった

「・・・・・もしかして、中を見た?」
「心当たりがなかったから何だろうって思って少しね」
「・・・・・・・・・・あのね、華、違うんだよ!」
「何が?」
「みどりちゃんがやろうって言い出したの!みどりちゃんがね・・・・・」
「みどりちゃんも同じこと言ってたね^^ みどりちゃんはもっと色んな事も話してくれたよ?クーが色んな事をしてくれたことも」
「私じゃないって言ってんじゃん!」
思い切りノートを引いてきたタイミングで手を離したらクーが後ろに転がって丸椅子から転げ落ちる

「別にもうどうでもいいからさ、何をしても何を言っても構わないから」
「華・・・・・私たち・・・・親友だ・・・・・
「2度と私に話しかけてこないでね^^」


部室のドアを閉めた瞬間、華は妙に清々しい気持ちになっていた
これでトイレも自由に行けるし、電話も手紙を強要されずに済む。その気持ちが裏切られたショックより勝ったんだと思う

それにノートに文字にしなかっただけで、華だってクーに対して面倒くさいなという感情を常に持っていたからお互い様だなという気持ちもあった

しばらくは2人が華の周りをチョロチョロして「謝りたい」とか「許して欲しい」なんて言っていたけど無視をしたら遠慮なく文句を言えるようになったようで、知らない間に出来上がっていた「クーの友達チーム」にネチネチとイヤがらせを受けた

ただ、そのチームは揃いも揃って陰湿な僻みを抱えているんだなと分かっていたから別に何とも思わなかったし
クーという壁がなくなって華と友達になりたいと言う人もたくさんいてくれた

華は相変わらず明るくゲラゲラ笑って毎日を楽しくしていたけれど、人に自分の中身を見せる事だけは一切しなくなった
それと突然1人になりたくなってフラフラと学校をサボッて近くの川で1日中ボーっとしていたり本を読んだりしていた
やがて学校で過ごす時間は「バンドの練習までの時間潰し」みたいになってほとんど授業にも出なかった。


2年間も生徒会をやっていたから卒業出来ないと言う事はないとタカをくくっていたし、実際卒業も出来たw


その頃、マリは学校へ来ても教室へ行かない華を追いかけ回して怒っていた

「華ちゃん!卒業出来なくなるよ!いいの!先生怒ってたよ!」
「大丈夫だよ~」

今となっては面影もない超真面目っ子だったマリはまるで母親みたいだったw

「一緒に卒業しようよ!」
「大丈夫だよ~、多分出来るよ」
「全く!なんでそんなにいいかげんなわけ!」

渡り廊下で後ろから追いかけてくるマリとのこの日の会話は物凄く鮮明に覚えている

「華ちゃん!私は華ちゃんと一緒に卒業したいよ!」

華はマリのしつこさに若干のウンザリ感もあり、卒業後の行動もまるきり別な華にマリがどうしてこだわるのかサッパリ分からなかった

「なんで?卒業したら別々じゃん?」

「だって華ちゃんとは親友でいたいもん!」

後になって聞いた話ではマリは華とクーの事をクーから聞いていた
華の事をボロクソに言われ、人の彼氏に手を出すヤリマン女だと言われ、マリはそのバカバカしさに笑ってしまったんだそうだ

でも、親友というキーワードは知らなかったらしく、もちろん、その言葉が華に嫌悪感しか抱かせない事も知らなかった

「マリちゃんは親友じゃないよ」

特別な意味はなくただの拒絶反応でそう返した時のマリの悲しそうな顔は今でもよく覚えている
あ、と言った事を後悔した数秒後、マリは顔を上げてニッコリと笑ってこう言った

「分かった じゃ、スーパー友達!」

大真面目な笑顔に華は大爆笑して、それを見てマリも笑った

他の友達は華とマリの事を「ルパンと銭形みたいだ」と良く言っていたから、それをイメージしてもらうと当時の2人が分かりやすいかも知れない。


それから卒業間近までは相変わらずな日が続いたけれど、最後の最後にとんでもない事件が起きた

闇の話 「絶対的な後悔」

「華先輩・・・・ちょっと話せますか?」

華にそう持ちかけて来たのは、もうとっくに引退した吹奏楽部の1個下の新しい部長と副部長だった。

神妙な表情の2人は華の「聞く姿勢」を見て安心したように話し出した

簡単に書くとこんな感じ

もうとっくに引退したクーとその一派が部室の鍵をいつまでも返してくれず(華はとっくに返した)入り浸って困っている
そして最近、部室の色々な物がなくなる と言うのだ

そもそも部室に置きっぱなしにしておく方が悪いと言えば悪いのだけど、財布やマンガ本やCDなどなどが毎日のようになくなるという

「それは顧問に相談した方が良いよ」

今更クーに関わりたくない気持ちもあって、もっともな意見を言ってみる

「相談したんですが・・・・・犯人探しは良くないとか・・・・置いておくのが悪いって言われるだけで・・・・・無くなった物は仕方ないと思っているんですが、クー先輩に鍵を返して欲しくて・・・・・」

「悪いけど、力になれないよ 何度言ってもダメなら顧問に言ってもらうしかないんじゃない?」

冷たいなぁと後輩は思っただろう。


そして数日後、華は置きっぱなしにしている物を少しづつ整理しようと思って教室の自分のロッカーを開けて愕然とした。
ロッカーの中の手提げ袋に見た事もない財布や化粧ポーチがいくつも入っていたのだ

やられた そう思った

捨てるわけにもいかず、中身はもちろん抜かれて切り刻まれた財布や化粧ポーチなどを持って部室を訪ねた

「華先輩はもう鍵を持っていないって分かってますから」
後輩達はそう言ってくれたけれど、華のロッカーにそれがあって中身が抜き取られていて、見るも無残な形になってしまっている事は事実だ
「私が盗ったんじゃないよ」と言うのはきっと後輩たちにとってどうでもいい言葉だろう
疑う人は疑うし、疑わない人は疑わない。

でもそれを返さず捨ててしまうのは、可哀想な気がした。

その足で華は顧問を訪ね、経緯を説明し対策を取って欲しいと頼んだけれど、やはり顧問の答えは後輩達に出したそれと同じだった

「犯人探しは意味がないし、鍵を次の世代に渡すのは生徒達の伝統だから顧問が口出す事じゃない」

兼任のコーラス部の方に熱心で部活にほとんど顔も出さないような顧問だったから「面倒はイヤだ」という事だろう

八方塞がりだなぁと思って職員室を出ると、後輩の1人がコソコソと隠れるように華を待っていた

「ダメだった、力になれなくてごめん」
後輩はブンブンと大きく首を横に振って「華先輩にお願いする私達が悪いんです」と続けた

「私達はクー先輩が華先輩の事を悪く言うのを笑って聞いていました。
心の中では皆が『村田先輩にふられた腹いせだ』と分かっているのに、そうだそうだ!と言わないと自分が仲間外れにされるから・・・・・
それなのにこんな時だけ先輩に頼ってる私達がダメなんです・・・・・」

今にも泣きそうな顔をしている目の前に居る後輩は、ズタズタに切られた財布の持ち主の子だ
彼氏が一生懸命バイトをして高校生にしては高価だったブランドのお財布を誕生日にもらったと嬉しそうに見せていた時、クーが物凄く不機嫌な顔をしていて「生意気」と言ってたのを華は知っていた。

合わせていないと自分がイヤな思いをするから、というのは何も後輩達だけが抱いてた感情じゃない。

あの事があってから部活動もいい加減になってしまったから、1つくらい後輩の為になりたい。
そんな気持ちで華が部室に戻ってみると、クーとその一派がUNOをやっていた

「あのさ、もう引退したんだから鍵を返してあげなよ」

「二度と話さないんじゃなかったんだ?」
その言い方がほんの少し怖くて、後輩の前で必死に怖くないフリを続ける

「自分達だってそうやって先輩から鍵を受け継いできたんじゃん 可哀想だよ」

「違うよ?」

クーは楽しそうにUNOをしたまま華の言葉を遮る

「鍵を取り上げてる訳じゃないし、入り浸ってる訳じゃないよ
なんか部室で物が無くなるらしいから犯人を捕まえる為に見張っててあげてるんだよ」

まるっきり話を聞く気がない素振りにイライラするのと、ビシっと解決出来ない情けなさで何も言えない

「あ、そう言えばさ~、イトウちゃん、お財布戻ってきたんだって?切り刻まれてたらしいじゃーん ひどいよねー」

華の後ろをついてきていた後輩はその言葉にハッとして下を向く

「それって誰が持ってきてくれたの~?」

「・・・・・・」

「イトウちゃん!誰が持ってきたのか、皆が誰を犯人だと思ってるのかハッキリ言ってみ!」

クーの金切り声に後輩は下を向いたまま消えそうな声で「華先輩です」と答えた。

「もしかしてまた何か盗りに来たの?」

顔がカッと熱くなる気がして後輩を置き去りに部室を飛び出す
色々な気持を冷ましたくて校舎内をあてもなくブラブラ歩いていたら、とんでもない事を思い付いてしまった


華が今も絶対的に後悔している自分の行動


小柳先生という先生は若くて熱血漢でカッコ良かったから男子からも女子からもとても人気のある先生だった。
生徒会の顧問でもあり、楽しい時は楽しく、怒る時はビシッと怒る、華も良く知っていた。

ブラブラ歩いていたら小柳先生の声が聞こえて、顔を上げると書道部の練習部屋

華はそこに普通に入っていき「小柳せんせー」と先生に声をかけ、先生の視線がこっちを見ているのを完全に確認して

生徒のカバンを1つ持ってダッシュで逃げた


もちろん、中身なんか一切見なかったし、練習部屋を出てすぐの角で先生を待っていた。

生徒指導室で華は小柳先生に何を聞かれても「盗った理由は言いたくない、退学にしてもらって構わない。だけど吹奏楽部の盗難被害をきちんと取り上げて解決して欲しい」としか答えなかった。

今思えば、というか事が済んだ瞬間から最低な事をしたと思った。
こっちの事情はどうあれ、例え一瞬でもカバンを盗られた子は物凄くイヤな気持だったと思う。

だけどその時は本当にバカみたいだけどそれが全ての解決に繋がると思って、正義感すら持って華は犯罪を働いた。

「とりあえず親に連絡をする」
小柳先生がそう言って立ち上がった時、指導室に吹奏楽部の後輩と、その時は分からなかったけど華が盗ったバックの持ち主の子が傾れ込むように入ってきて、後輩達はワーワー泣きながら色々な事をいっぺんに喋り出した

「おいおい、ちょっと落ち着け」
先生が慌てて1人1人の話を聞くと、皆、自分達の部活で起こっている盗難被害と鍵問題を華に押し付けた事と、ついさっきの出来事を大泣きしながら説明し出した
そしてカバンの持ち主は偶然にも後輩の友達で、その話を前から聞いていた事と自分は被害に合っていないということ
そして小柳先生に吹奏楽部の問題の力になってあげて欲しいと言ってくれた

「華先輩を退学にしないでください!」

号泣する後輩達の前で華は感情をポツンと取り残されたみたいになっていた
出来過ぎた学園ドラマでもみているような感じで、どうしていいか分からずにいたけれど身体が勝手にカバンの持ち主の前に歩いていき、生まれて初めての土下座をしていた

「イヤな思いをさせてしまって、本当にごめんなさい」


そしてその後、吹奏楽部の部室の鍵は換えられ、引退した者は誰ひとり部室に入れなくなった。
結局誰が盗ったかという事は分からずじまいだったけれど、その後、物が無くなる事は一切なくなったと聞いて華はホッとした。

華の処分はと言うと、溜まりに溜まった生徒会室の資料の整理をすること
そしてそれが全て終わった日、小柳先生にこう言われた

「お前のした事は理由はどうあれ、悪い事だ。
どんなに正しい主張を持っていても、自分の下の者を守りたいと思っての行動でも、悪い事だ。
9正しくても最後の1が悪い事ならば、それは10悪い事と同じになってしまう事もある。
だから二度とあの日の選択はするな。分かったな?」



卒業式の日、今日で最後と言う気持ちも薄く、まるで春休み明けもここに通うかのように友達とワイワイ校門を出る時
後輩達が一列に並んで「ありがとうございました!」と言ってくれた
決して真面目でなかった華に対しての後輩の行動が友達には面白かったらしく「不真面目部員がお礼を言われてるー!」と大爆笑していたから、うっかりもらい泣きしそうになった華の事は気がつかなかっただろう。


こうして華のクーに振り回された3年間は終わった

だけどこれはまだまだ始まりに過ぎなかった事、そしてそんなのは闇のうちに入らないって事をその時の華は知らなかった。

闇の話 「自分の甘さ・馬鹿さ加減」

高校を卒業した華は、とある市が持つ重度身障者養護施設で介護の勉強をしながら仕事をしていた。

実は卒業間近までごく普通の会社の事務員として就職すると言っていたから、本当の就職先を知った両親は猛反対をした。
今ほど介護という仕事がひらけていなかったから「とても大切な仕事だとは思うけれど、娘がするのは賛成出来ない。」という気持は分からなくなかった。

実家からそう遠くない場所なのに「時間が不規則だから」ともっともな理由をつけて華は寮生活を始める。
数日で母親の苦労が身に染みて分かった(笑)
それより何より例え口やかましいお小言であっても家の中で自分の声しかしないというのは本当に淋しく感じた。
自分で作らなければいつまでたっても食事は出てこないし、洗って干してたたまなければ洗濯物は増える一方。
だけど反対を押し切って飛び出した以上、のこのこ戻る事は出来なかったし、両親が恥ずかしくなるような生活だけはしたくなかった。

慌ただしく見るもの全てが新しい中、それなりにリズムを掴め始めたのは4~5ヵ月が過ぎた頃

この仕事が自分の天職かも知れないと思い始めた矢先、母から一本の留守電が入っていた。

「クーちゃんから何回も連絡があって『どうしても連絡を取りたい』と言っていたから、そっちの電話を教えたよ」

母は悪気なく自宅に何度も遊びに来て良く知っていたクーだからとしたこと。

だけど華にとってそれはとんでもなく嫌な予感がする事だった

この辺の詳細ははしょるけれど、寮と言っても自室の固定電話だったから電話を無視し続けた華にしびれを切らしたクーが再び母に泣きつき
最終的には「あんなに仲良しだった友達が悩んでるっていうのに、無視をしたら可哀想よ」と勝手にお膳立てをされ華はクーに会う事になる。


「久しぶり^^ 元気にしてた?」
悩んでいると聞いていたクーはまるで全てを忘れ去ってしまったように元気でニコニコとしていた
「うん、用事ってなに?」
平日の夜だからきっとお互いに仕事終わりだと思うけれど、爪を伸ばす事やアクセサリーを着ける事がダメな職場で化粧っ気もなくヘトヘトの華の目の前のクーはジャラジャラとアクセサリーを着けてキチンとと言うよりやり過ぎ感すらあるメイクで服も派手になっていた。

「うん、華を親友と見込んで大事な相談があるの」

「は?」

多分、華は結構な間抜け声でそう言ったと思う

「あのさ・・・・・

そんな事はお構いなしで話を続けようとするクーの目の前で華の血管は破裂して血が沸騰しそうな勢いだった

「なにそれ?親友と見込んで??????自分が私に何をしたか忘れたわけ?」

立ち上がった華を見上げるようにしていたクーが静かに立ち上がりテーブルに頭をぶつけるんじゃないかって程、深く頭を下げた

「あの時はごめん、忘れる訳なんかないよ ほんとごめん。 何度謝っても許してもらえないかも知れないけど、何度でも謝りたい」

意外過ぎたクーの行動に拍子抜けしてしまった華はペタンとシートに身体を沈めた

「許してもらえないかもしれないけど、許してもらえるまで謝りたい。
私ね、今、すごく悩んでる事があって、華にしか相談出来ないから・・・・・あの時はほんとごめん。」


今まで自分の事を何度もバカだと思ってきたけど、あの時の自分は人生のベスト5にランクインする馬鹿さ加減と思う
許せない、大嫌いだと思ってきていたクーなのに、二度と会いたくないと思っていたクーなのに、あの時の華はそんなクーを許そうとしていた

もちろん、学生の頃と違い毎日顔を合わせる訳じゃないし、許した所で二度と会わないかも知れない。
自分が嫌な思い出としてモヤモヤしていたソレを、もしかしたらクーも感じていてくれたのかも知れないという
何とも甘ちゃんな気持が華を油断させた。

「もういいよ、分かった」

その言葉に顔を上げたクーはそれから足早に卒業後の自分の歩みを話し出す。
大手電機メーカーの製造に就職したと思っていたクーは、とっくにそこを辞めて別の仕事をしていた

「今は大手じゃないけど金融業^^ 前よりずっと仕事は楽だし、お給料も良いんだよ^^」
「そう、よかったね」
「あ、そうだ!彼氏も出来たんだ!」
「そっか」
そしてそこから急に表情を曇らせ「でもね」と続ける

ここからは大雑把に説明すると、

同じ会社の人とお付き合いをしているけれど親が交際を反対している。
実は自分は妊娠出来ない身体なのだけど、彼との子供を現在妊娠してる。
親がおろせと無理矢理病院へ連れていこうとしているから彼と逃げる事にした。

「彼との愛の結晶を殺したくないの・・・・・・」
ファミレスで人目も気にせず号泣しているクー

華はその、どうにもこうにも胡散臭い話を馬鹿正直に信じてしまっていた。

クーはたたみかけるように
「子供が生まれて落ち着いたらきっと親も許してくれると思うけど、それまで逃げるにはまとまったお金がいる
幸い、勤めている会社がお金を貸してくれると言っているけど保証人がいると言われた
あくまで借りるのも返すのも私達だから、華には絶対に迷惑をかけない
だからお願い、保証人になって」と一気にテーブルに書類を広げた

「保証人って・・・・・でも・・・・・・」
バカなりに一応難色を示し、それよりも親に認めてもらう方法を一緒に考えようと話の方向を変えようとする華にクーは「お願いします!親友の華にしかこんな事頼めないの!」と大袈裟な声でまた頭を下げた


もうお分かりの通り、翌月華は職場にやって来たイカツイ人に、まだ18歳の自分が400万円もの借金を抱えている事を知らされる。しかも保証人ではなく、借りた本人。

クーの勤めていた金融業と言うのはブラックな高利貸しで、クーはそこの従業員の手引きで数名の友人から同じ手口で借金をさせ姿をくらましてしまった。

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はじめまして

木蓮

Author:木蓮
木蓮と言います。
ちょっとだけお引越ししましてドキドキしております。

基本アホな事を書きますが時に「いやらしい事」を書く予定がありますのでご用心(≧∀≦)ご用心て…。

毎日の色々な想い・想い・重い(ボディ)をワキャキャと書いていけたらいいなぁなんて思っております。

初心者であまり仕組みを理解しておりませんが、リンクしていただけたりすると嬉ション漏らす勢いで喜びます(≧∀≦)嬉ション!

こんなお下劣な木蓮でございますが、どうぞよろしくお願いします。

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